はじめに
ここでは、『G-MODEアーカイブス11 千羽鶴』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
本作は、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)専用アプリとして配信されていたゲームを、スイッチに移植したG-MODEアーカイブスシリーズの11作目で、とある病院を舞台にしたテキストアドベンチャーです。
ルート分岐によりストーリーが千差万別し、ホラー/サスペンス/コメディと様々な物語を楽しめる作品となっています。
ゲーム概要
ストーリー
平凡なサラリーマンの佐々木祐一は、ある朝恋人のまゆりが九十九総合病院という病院に入院しているという電話を受ける。
昨晩まゆりに会った時はどこも悪そうなところはなかったのに一体何があったのか疑問に思いつつも、祐一は九十九総合病院に向かう。
だがその病院には医者も患者もほとんどおらず、どこか不気味な雰囲気を漂わせており・・・。
本作の特徴
アプリをそのまま移植
はじめにでも述べたように、本作はフィーチャーフォン向けに配信されていたアプリゲームを忠実にスイッチに移植した「G-MODEアーカイブス」という作品群の中の一作である。
このアーカイブスは「復刻プロジェクト」と銘打たれており、一部操作を調整しつつもガラケーアプリとしての体裁を保ったまま遊べるようほぼそのままの移植がなされている。
そのため、携帯画面からプレイしているような感覚を味わうことが可能。
※携帯部分は設定でON/OFFできる
当時ガラケーでこの手のゲームをプレイしたことがある方にとっては懐かしく感じるだろう。
病院内で繰り広げられる様々なストーリー
本作は、選択肢を選びながら読み進めていくオーソドックスなテキストアドベンチャーとなっている。
ストーリーは選択肢によって展開や結末が変化するというルート制で、ここも従来通り。
だがこの部分に関しては本当に多彩で、ホラー、サスペンス、スプラッター、果てはコメディなど、どういうルートを辿るかで物語はその様相を一変させる。
そのため、一つのゲームで多種多様なテイストのストーリーを楽しむことが可能。
選択肢とカード
本作では、選択肢を選ぶ際カードを消費するという独特のシステムが採用されている。
まずゲーム開始時に9枚のカードストックが提示され、ABC3つにカードをどの程度分配するかを決定。
その後、プレイ中はその振り当てた枚数分を基に選択肢を選んで進めていく。
ex)Aのカードが途中でなくなった場合、その周ではもうAの選択肢を選ぶことはできない
カードの所持枚数は未発見のエンディングを回収していく度に増えていき、最終的に27枚獲得可能。
つまり、周回すればするほど選択肢選びが偏ってもリカバリーしやすくなるというバランスになっている。
感想
良かった点
一本で色んなテイストを楽しめる
分岐条件はシンプルながらも、概要で述べたように本作は色々なテイストのストーリーを楽しめます。
まさに欲張りセットです。
心霊的なホラー、サイコスリラーなサスペンス、ガチグロなスプラッター、荒唐無稽なコメディなどその種類は多岐に渡ります。
また、ストーリーによっては主人公と恋人の関係性や、病院の秘密や事情が様変わりするので、プレイしていて飽きませんでした。
病院を舞台装置としたオムニバス形式の物語と言っていいかもしれません。
方向性としては『かまいたちの夜』に似ています。
元はガラケーアプリというスペック事情があるため、イベントスチルはなくほぼ文字上でのやりとりでゲームが進んでいきますが、それ故になおさら想像を掻き立てられる場面は多かったですね。
コンパクトにまとまっている
前述の通り、このゲームは元はガラケーで配信されたアプリでコンシューマーのゲームではないので、ボリューム面はそこまでなく、3時間程度でクリア可能です。
ただその分、どのルートも大体15~20分で終わるのでテンポが良く、伏線がとっ散らかったまま終わることもないので、読後感はそれほど悪くありません。
携帯アプリらしく隙間時間でプレイできる作りになっています。
なので壮大さや骨太さはありませんが、手堅くまとまっているという印象です。
悪かった点
正史がない
前述の通り、本作には様々なルートが存在しますがトゥルーエンドらしいものはなく、これが正史だというルートもありません。
物語として一つの大きな柱があって、それを取り巻くようにルートが枝分かれしているのではなく、舞台と登場人物が同じなだけで物語自体には共通性や一貫性がないので、そこでちょっと好みが分かれるかと思います。
そういう感じなのでクリア後はそんなに達成感がなく、面白かったけどイマイチスッキリしなかったのが少し残念でした。
プレイ前にこの点を把握しているか否かで多少評価が上下してしまうのかなと。
特に面白みのないカードシステム
選択肢が出てくるとカードを消費していずれか一つを選ぶというシステムですが、特に戦略性も面白さもなかったように思います。
初期状態では9枚しかないものの、ABCそれぞれ3枚ずつにしていれば全く問題なく、カード枚数の組み合わせが鍵になるとかそんなことは一切ありません。
ゲームが進んでいくと所持枚数がどんどん増えていきますが、増えたところで3等分していれば支障はない上に、そもそも枚数が増えても全部使い切れないので(9枚あれば十分)、プレイ中はずっと「このシステムいる?」って思ってました。
率直に言って練り込み不足と言わざるを得ません。
まぁ十数年前のゲームにとやかく言っても仕方ないんですが・・・。
おわりに
以上、『G-MODEアーカイブス11 千羽鶴』のクリア後レビューでした。
色んな意味で混沌としたテキストADVです。
舞台と登場人物が同じのショートショートのようなものなので、暇な時にパパっとプレイできます。
ただ、ガラケーアプリ時代の作品なので如何せん地味です。目を引くゲーム性というのも特にありません。
なので目をキラキラさせながらプレイするというよりは、「昔は携帯でこんなゲームが配信されてたんだなぁ」と当時に思いを馳せるぐらいの心持ちで臨んだ方がいいのかなと。