はじめに
ここでは、『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
本作は、かつてフィーチャーフォン(ガラケー)向けに配信されていたアプリゲームを現行ハードで復刻するという「Gモードアーカイブス」の一作です。
※厳密にはGモードアーカイブス+に属する作品
言ってしまえば、過去のゲームを移植した作品となってます。
今回取り上げる「探偵・癸生川凌介事件譚」は、シリーズとして数作品が世に出ており、本作はその1作目にあたる記念すべきタイトルです。
「プレイしたら死ぬ」という謎のオンラインゲームによって次々と犠牲者が出る不気味な事件を、癸生川達が追っていきます。
が、プレイヤーが実際に操作するのは主人公の癸生川ではなく、その友人でゲームシナリオライターの生王正生なのが大きな特徴。
癸生川は要所要所にしか出て来ません。
ストーリーでは、基本的に操作キャラである王生と、癸生川の助手である白鷺洲伊綱の2名がメインとなっています。
・・・どいつもこいつも覚えづらい名前ですね。
ということで以下本題。
あ、ちなみにDSで『仮面幻影殺人事件』という癸生川シリーズに連なる作品があるんですが、そちらとこちらは全くの別物です。
ゲーム概要
ストーリー
2002年7月3日(水)。
ゲームシナリオライターの王生は、ゲームに使えるネタを求めて癸生川探偵事務所を訪れる。
事務所では、癸生川はとあるゲームに没頭中でこちらに取り合ってくれず、代わりに助手の伊綱と軽い雑談を交わしていた。
そうしていると、依頼人が事務所を訪ねてくる。
依頼人の名は砂永というとあるゲーム会社に勤める中年男性。
砂永は、自身が勤める会社の社員である村崎が突如として自殺してしまい、その件で依頼に来たという。
村崎は会社の有望株であり、彼を失ったことは社として損失が大きいのだが、もしこれが自殺ではなく他殺なのだとしたら、犯人から損害賠償を請求できるのではないかと判断。
そのために、癸生川らへこの件に関する調査を依頼する。
これを了承した助手の伊綱は、王生を巻き込んで調査を開始。
すると、村崎の死にはとあるオンラインゲームにまつわる噂が関係していることが分かり・・・。
本作の特徴
オーソドックスなテキストアドベンチャー形式
見出しの通り、本作はオーソドックスなテキストADVスタイル。
コマンドを選び、関係者への聞き込みや現場を調査することによって事件解決に必要な証拠や情報を入手していく。
よくあるタイプの推理ADVだが、事件に関する重要な情報が黄色文字で表示されたり、章の最初にこれまでの調査状況のまとめがあり、比較的進めやすい。
感想
良かった点
テンポがいいストーリー
ストーリーは多少のご都合主義(欲しい情報が欲しい時にすんなり手に入る)もありますが、中だるみなくトントン拍子で進んでいきます。
非常にテンポがいいです。
このおかげで一気に最後までクリアできました。
まぁ逆に言えば、ボリュームが少ないということでもあるんですが・・・。
これに関しては後述。
癖の強いキャラ達
メインキャラは結構印象に残ります。
周囲の思惑から外れた奇行が多く、「喋っている最中に思考が進んで支離滅裂な言動になる」という天才特有の悪癖を持つ探偵・癸生川。
しっかり者だけど歯に衣着せぬ言動で切り込んでいく癸生川の助手・伊綱。
イチイチ言動が癪に障るけど憎めない刑事・音成。
など、主要キャラは癖が強いのが多いです。
硬派だったりハードボイルドな感じはなく、いかにもゲームらしいテイストが特徴のキャラ造形かなと。
もしかしたら少し人を選ぶかもしれません。
でも操作キャラである王生と、音成の上司の尾場警部が割と普通なので意外とくどさはなく、バランスは取れてます。
悪かった点
解決編がほぼ聞いているだけ
本作は、全ての情報が出揃った時点で解決パートに移行しますが、この解決パート、プレイヤーが考えて操作する余地がほとんどありません。
あるにはあるものの、たった2カ所のみです。
それ以外は全て、癸生川と助手の伊綱が披露する推理をただ聞くだけとなっています。
これは流石に味気なかったですね。
なんだか自分だけ蚊帳の外にいる感じがありました。
全容を把握している癸生川が、プレイヤーの分身である王生に質問を投げかける形で進行していくのなら、まだ蚊帳の外感はなかったと思うんですが。
あと、事件自体は匿名性を生かした犯行で面白くはあるんですが、ある人物の死に関しては正直「なんじゃそりゃ」って感じでした。
道理としてはそういう死に方になるのは分かるけど、もうちょい根拠が欲しかったかな・・・。
ボリュームが物足りない
ガラケー時代のゲームということもあり、本作のボリュームはどうしても物足りないです。
およそ1時間半でクリアできます。
自分が他にプレイした「Gモードアーカイブス」のゲームでは、『千羽鶴』という作品があるんですが、それはクリアまで大体3時間くらいかかったので、本作は『千羽鶴』よりも短いです。
せめて2時間ぐらい遊べたらよかったなぁとはどうしても思ってしまいますね。
良く言えば隙間時間でパパっと終われるとも言えるんですが。
まぁこの辺はプレイする人によって感じ方は違ってくるのかなと。
おわりに
以上、『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」』のクリア後レビューでした。
シリーズ第一弾ということもあってか、ゲームとしては物足りなさが残ります。
特に終盤の解決パートは、推理ものADVとしては出来がちょっとアレですね。
アプリゲームならではの制約があったかと思いますが、もっとプレイヤーを巻き込む作りにして欲しかったです。
ただこのシリーズ、2作目以降から本格的に面白くなるらしいので、気が向いたら2作目3作目と触ってみたいと思います。