はじめに
ここでは、『モンスターハンターライズ』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は2021年にニンテンドースイッチから発売されたモンハンシリーズ最新作で、3rdのような和風テイストが特徴のハンティングアクションになっています。
ちなみに、任天堂ハードでのモンハンは2017年のダブルクロス以来4年振りです。
ゲーム概要
ストーリー
舞台は和を基調としたカムラの里。
主人公は従来作のようにギルドから派遣されてきたハンターではなく、この里で生まれ育ったハンターという今までとは一風変わった設定。
プレイヤーは自らの分身である主人公を操作してハンター稼業を営みつつ、里を脅かす「百竜夜行」への対処やそれが起こる原因を探っていく。
本作の特徴
多くの新要素
マップのシームレス化や回復アイテム使用中に移動できるなど、基本的な部分は前作にあたるワールドから引き継がれているが、今作ではそれに加え新たな要素も多数登場している。
ここではその中でも特徴的な要素をいくつかピックアップして解説していく。
翔蟲
翔ぶ蟲と書いて翔蟲と読む。
今作では翔蟲という昆虫を使役し、移動や攻撃など様々な場面で活用していく。
具体的な活用方法に関しては後述。
今作を語る上では欠かせない要素であり、これに慣れることがゲーム上達の第一歩となる。
なお、翔蟲にはゲージが存在し(初期状態では2本)、使用する度クールタイムが発生する。
疾翔け
翔蟲を移動に用いた場合の総称。
移動中に翔蟲を前方に出すと、翔蟲は鉄蟲糸と呼ばれる特殊な糸を放出しながら前へ移動、その糸にハンターが掴まると翔蟲がいる場所まで高速で引き寄せられる。
これを疾翔けという。
文字だと分かりづらいが、早い話がワイヤーアクションを利用した高速移動のようなもの。
今作ではこの疾翔けを用いることで、単純な移動からモンスターに急速接近or離脱などスピーディーな動きができるようになっている。
また、前方ではなく壁に向かって疾翔けをすると壁走りに移行。
これにより、ツタや段差がない場所であっても上に登ることが可能になった。
移動に関しては非常に快適になったと言えるだろう。
さらに、(これは移動ではないが)翔蟲は被弾時や転倒時にも使用することができ、ダウンした後に使うと即座に翔蟲受け身が可能。
この受け身には無敵時間はないものの、ダウン後の隙をなくし即次の行動に移れるため敵の追撃をかわしやすい。
これにより、起き攻めされるリスクは大分減ったと言える。
鉄蟲糸技
翔蟲が出す鉄蟲糸を攻撃に利用した技のことを鉄蟲糸技という。
鉄蟲糸技は武器種ごとに固有の技が数種類あり、戦闘ではこのうち2つを選んで使用することができる。
※技自体は装備扱いのため、キャンプに戻ればいつでも入れ替え可能
例えばハンマーの場合、初期状態では鉄蟲回転攻撃とインパクトクレーターの2つの技を持っている。
鉄蟲回転攻撃は、翔蟲を空中斜め上に飛ばし、縦に回転しながらジャンプ攻撃するという技。
ワールドでいう坂からの滑走→回転攻撃とほぼ同じ。
あれが坂関係なくいつでもできるようになったというと分かりやすいか。
意外と高く飛ぶため、ちょっとしたブレスなら避けれることも。
インパクトクレーターは、真上にジャンプし地面が抉れるエフェクトとともに豪快にスタンプを決める技。
使用前に溜めておけばヒット数が変化。溜め3の後に使うと最後のスタンプが2ヒットする。
隙が大きく最後のスタンプまでが長いが、決まれば大ダメージを叩き出すことが可能。
というように通常のアクションに加え、クロスやダブルクロスで言うところの狩技のような外連味溢れる攻撃ができる。
なお、疾翔けと同様鉄蟲糸技もゲージを消費する。
消費量やクールタイムは技によって異なり、ハンマーの場合だと
鉄蟲回転攻撃はゲージ1消費・クールタイム普通
インパクトクレーターはゲージ2消費・クールタイムやや長い
という具合。
操竜
今作における乗り。
攻撃によって弱ったモンスターを鉄蟲糸で拘束することで乗りが成立し、乗ったモンスターを一時的に操作することが可能。
操竜中は移動、他のモンスターへの攻撃、アイスボーンのクラッチのように壁に激突させてダメージを狙うといったことができ、一方的にダメージを与えられる。
これにより、縄張り争いや狩猟対象外のモンスターの乱入が邪魔どころか歓迎されるようになり、弱った方に乗ってモンスター同士で戦わせるという芸当ができるように。
オトモガルク
今作で登場した新たなオトモ。
ガルクという牙獣種に属するモンスターをアイルーと同様オトモとして随行させることができる。
分類上モンスターではあるが見た目は犬に近い。
アイルーのような多種多様のサポートは得意ではないものの、代わりに攻撃能力が高く、サポートのアイルーに対してこちらは攻撃担当という塩梅に性能が分かれている。
クエストに連れて行けるオトモはソロだと2匹、マルチでは1匹。
ソロの場合組み合わせも自由で、アイルーとガルク1匹ずつ、ガルク2匹orアイルー2匹などが可能。
また、ガルク最大の特徴としてハンターを背中に乗せて移動することができる。
移動中は
・俊足
・スタミナ無限
・乗りながらアイテムが使用可能
・ツタやある程度の段差を登れる
・乗ったまま採取や剥ぎ取りができる
など高性能。
今作ではフィールドが広くなっているため、ガルクの存在は欠かせない。
百竜夜行
新要素+ストーリー上でのキーワード。
百竜夜行とは「モンスター達が種族の垣根を越え、大挙して押し寄せる現象」を指す。
カムラの里では過去に百竜夜行による被害を受けており、一時は壊滅寸前にまで陥った。
なぜこの現象が起こるのか原因は不明で、百竜夜行を解明することが本作の目的の一つとなっている。
以上のような基本設定が本作の主軸。
これはゲーム面にも反映されており、実際に挑むことになる百竜夜行のクエストは全て「里の最終関門を死守する防衛戦」という形式をとる。
これは過去作にもあった砦防衛戦をさらに戦略的に発展させたもので、プレイヤーはバリスタや大砲といった各種設備を決められたフィールド内に考えて設置し、モンスターの襲来に対応していく。
詳しく解説すると長くなるため、簡潔に特徴をまとめると、
・クエストの舞台は砦
・過去作の防衛戦同様バリスタ/大砲/撃龍槍などの設備を駆使して戦う
・里の最終関門を守り切れればクエスト達成、できなければ失敗
・ダウン回数に制限はなく、何回力尽きても失敗にならない
・敵の集団は一度に来るのではなく第一波第二波という具合に波があり、これを全て退ける必要がある
・砦にはレベルが存在し敵を倒すごとにレベルが上昇、それに伴い強力な狩猟設備が順次解放されていく
・砦のレベルが上がっていくと、里長フゲンやヒノエ/ミノトといったNPCを召喚することもできる
というように、これまでの防衛戦とは一味違った戦いを味わえる。
伝承や妖怪をモチーフにした新モンスター
今作でも新たなモンスターが10種類以上登場。
和風の世界観になぞらえ、新モンスターは日本古来の伝承や妖怪をモチーフにしたデザインになっている。
唐傘お化けをモチーフにしたアケノシルム
河童をモチーフにしたヨツミワドウ
鎧武者の亡霊をモチーフにしたマガイマガド
など和風チックなモンスターがゲームを彩る。
また、過去作からの続投モンスターは、ジンオウガやタマミツネといった和風の世界観に合致したモンスターが選ばれている。
感想
前作にあたるワールドとの比較がちょいちょいあります。
そのため相対的な評価が多めです。あらかじめご了承ください。
良かった点
快適なプレイ体験
とにかく評価できる部分。
前作にあたるワールドでの良い点(移動しながら回復アイテムを使用できる、調合できる素材は拾った瞬間調合するなど)を継承しつつ、様々な改善点が見受けられました。
まず目につくのはロード時間の短さ。
・拠点内でのファストトラベルが早い(ほぼ一瞬)
・クエスト出発/帰還時のロードが10秒もない
など、今作では待たされるということがほぼありません。どこへ行くにもただただ快適。
というか拠点内でのファストトラベルは何気に今作が初だったりします。
ワールドからの大きな進歩です。
また、ゲーム面では、ガルクや翔蟲といった新たな移動手段が追加されたことで、移動に関してのストレスがかなり減りました。
特にガルクは便利過ぎて今後のシリーズでも続投して欲しいレベル。
痒い所に微妙に手が届いていなかったモンスターライドを上手いこと発展させたなという感じです。
あと良い意味で大きく変更された点として、クーラードリンクやホットドリンクといったアイテムが削除されました。
それに伴い、砂漠のような熱帯地域だろうが雪山のように極寒の地域だろうが、ステータス面での影響を受けることなく動けるようになっています。
もちろん暑がったり寒がったりするアクションもありません。
設定的にはハンターの超人化がまた進んだ感はありますが、ゲーム的にはそういったアイテムがポーチを圧迫することもなくなったのでありがたい限りです。
というように、挙げればまだまだあるんですが、今作はとにかく改善点が多く快適の一言に尽きます。
入念にテストプレイしたであろうことが伝わってきました。
特に久しぶりに復帰する方にとっては快適過ぎて戸惑いすら覚えるのではないでしょうか。
程よい難易度
今作はまだ上位までしかないということもありますが、難易度的にはそこまで難しくありません。
・キークエからセレクトへの仕様変更
・モンスターの理不尽行動が少ないand隙が多くなった
・操竜や翔蟲受け身といったモンスターへの対抗手段の増加
といったように求められるものや強いられる理不尽が緩和され、代わりにできることが増えたので遊びやすくなっています。
なので個人的にはかなり進めやすいと感じました。
自分は上位ラスボスまでソロハンマーでやりましたが、クエスト失敗は一度もなく久しぶりにクリアまで全て初見突破できたので満足です。
ただ、上位以降は敵の火力が加速度的に上がっていくので、とりわけ上位後半は毎回ヒリヒリした戦いが続きました。
上位緊急のタマミツネなんかは火力にビビりながらやってたら確か30分近くかかった覚えがあります。
続投モンスターも結構モーションが変わってるので油断なりませんでしたね。
というように、総合的には滅茶苦茶難しいというわけではないものの、かと言って決して簡単でもないという絶妙な難易度だったかなと思います。
入っていきやすいストーリー
今作のストーリーはワールドほど強烈な牽引力があるわけではなく、従来の作品とほぼ同様にあくまでゲームのフレーバー程度に留まっています。
また、物語のスケールも「新大陸を股にかけた大冒険」というテイストのワールド/アイスボーンとは違い、「里に生きるハンターの狩猟生活」というように大分スケールダウンしていますが、ストーリーは分かりやすく入っていきやすかったです。
特に「百竜夜行の原因を解明して里を守る」という物語の軸がシンプルかつ感情移入しやすかったのも好印象でした。
今作からNPCが全員ネームドになったのも親しみやすく感情移入しやすい要素の一つになったのかなーと。
それと個人的には、ワールド/アイスボーンの「”調和”というもっともらしいお題目を掲げてエゴを覆い隠している」感じが苦手だったので、今作の「ただ自分達のためにモンスターを狩る」というこれまでの流れに立ち返ったことは大いに評価できますね。
狩る理由なんてほんとそんなもんでいいです。
悪かった点
いささかボリューム不足
上位までしかないとは言え、本作のボリュームはお世辞にも多いわけではありません。
その要因としては、痕跡集めがなく、ガルクや翔蟲などゲームプレイが快適なだけにサクサク進んでいく点や、クリア後も調査クエや歴戦個体といったエンドコンテンツがないのが挙げられます。
シリーズに慣れている方ならすんなり終わってしまうかと。
エンドコンテンツに関してはこれから拡張されていくとは思いますが。
また、ストーリーも短く、里のクエストの方はかかっても10時間程度で終わってしまいます。
特に作中ではマガイマガドとの因縁が度々語られるわりに、意外とあっさりマガイマガド戦に突入して終わるのが少々拍子抜けでした。
マガイマガド自体はかなりの強敵なだけに、倒すまではもうちょっともったいぶってもよかったのかなぁと思ってしまいますね。
作業感の強い百竜夜行
今作から登場した百竜夜行ですが、正直あまり面白さを感じられませんでした。
なんというか作業感が強いです。
まぁそんなこと言い出したらモンハンは最終的に作業に行き着くじゃんってなりますが、大抵の場合作業になるまでにどこかで面白いと思えるタイミングがあると思うんですよね。
作業化するまでの手順を自分なりに最適化していくのは面白いですし、後からネットで周回編成見たりしてあーそういうのがあったかなんて答え合わせするのはなんだかんだ楽しかったりします。
が、百竜夜行の場合は、そもそもの土台が砦防衛戦という攻略方法が自ずと限られてくる戦いであり、やれることは多くてもやるべきことは少ないので、慣れたらすぐ作業になってしまいました。
自分はラオシャンロンとかが楽しめないタイプの人間なので、こういうパターン化された作業はぶっちゃけ苦痛でしたね。
最初は苦痛でもやっていくうちにだんだん面白くなってくるというのはモンハンではよくあることですが、自分にとっての百竜は「最初は苦痛、そしていつの間にか作業になってた」という感じで面白いと思える時期がなかったです。
が、マルチだと面白いみたいな話はよく聞くので、そのうち行ってみたいですね。
モンスターの行動ルーチンの変化
悪かった点というよりちょっと残念だった点。
ワールドでは大型モンスターに遭遇した場合、すぐ警戒状態に移行しこちらに攻撃してくるモンスターもいれば、こちらから仕掛けない限り特に何もしてこないモンスターなど種によって対応は様々でした。
が、今作では従来通りこちらを発見したらすぐ警戒状態に移行するように。
これにより、モンスターの性格の違いが分かりづらくなっています。
この点は変えてほしくなかっただけに少しがっかりでした。
見た目は凶暴そうなのにこちらが何もしない限りのほほんとしてるトビカガチ(時折ハンターをチラ見)とか観察するのが好きだったんですが、今作ではカガチも例に漏れずハンターを見つけるとすぐ襲いかかってきます。
これ初めてやられた時は地味にショックでしたね。「え、お前そんな性格だったっけ?」と。見た目と性格を一致させるな
ワールドのようにモンスターごとの違いが最新作のライズでは分かりづらくなっているのはちょっといただけなかったです。
生態観察自体は頑張ればできるんですが。
ただ、こうやって書いてて思ったんですが、モンスターが最初から敵意むき出しで攻撃してくる分、罪悪感は減っているなぁとは思います。
ワールドではこちらに一切敵意を向けていないモンスターでも、それが狩猟対象であればこっちから先に仕掛けないといけませんでしたしね。
そういう意味ではこの辺りのバランスをとるのは難しいのかなーと。
おわりに
以上、『モンスターハンターライズ』のクリア後レビューでした。
従来のスタイルに戻りつつも、前作の良い部分を取り入れつつさらに進化したシリーズ最新作にふさわしい出来です。
ボリューム面や百竜夜行の作業感などには不満が残りますが、ラスボスまで飽きることなく楽しめたので個人的には十分良作だと思います。
今後のアップデート予定もアナウンスされているので、これからの動きにも期待したいですね。