はじめに
ここでは、アサシンクリードオデッセイをクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作はアサクリシリーズ第11作目にあたる作品で、舞台は前作オリジンズよりも前の時代である紀元前430年の古代ギリシアとなっています。
ゲーム概要
ストーリー
現代編
ギリシアにて秘宝へと繋がる遺産であるレオニダスの槍を見つけたレイラは、槍に付着していたDNAを基にアニムスを用いて古代ギリシア世界を追体験する。
そしてその記憶から、秘宝が眠る場所を見つけるべく動き出すのであった。
古代ギリシア編
紀元前430年。
ペロポネソス戦争が勃発し、スパルタとアテナイが争っていた時代。
傭兵業を営むアレクシオス/カサンドラは、とある依頼をきっかけにかつてスパルタで生き別れた家族が健在であること、そして自身や家族に魔の手が迫っていることを知る。
家族を探し出し、自分達を付け狙う謎の集団「コスモスの門徒」を壊滅させるため、ギリシア全土を舞台にアレクシオス/カサンドラの”オデッセイ”が始まる。
本作の特徴
シリーズ初の主人公選択制
本作では、アサクリシリーズ初となる男女主人公から好きな方を選択できるようになった。
この時主人公に選ばなかった方も、物語のキーパーソンとしてゲームに登場する。
なお、性別による性格や能力に違いはなく、ストーリーの内容にも変化はない。
が、どちらを主人公にしたかによって人間関係には若干の変化が生まれ、
男性主人公のアレクシオスを選んだ場合、カサンドラは妹になり、
女性主人公のカサンドラを選んだ場合、アレクシオスは弟になる。
古代ギリシアが舞台の壮大な世界
本作の舞台は古代ギリシア。
前作「オリジンズ」の砂に囲まれた世界とはうって変わり、蒼いエーゲ海と緑豊かな大地が特徴の風光明媚な世界となっている。
ロケーションはストーリー上行く必要のない場所が半分近くあるほどに豊富で、なおかつ人や動物の行動ルーティンもリアルなため、街々や山々を巡ってみるのも一興だろう。
また、ギリシア世界は海に囲まれているため船での移動が必要不可欠となっており、シリーズでは久しぶりとなる船要素が復活。
移動や戦闘はもちろん、素材を消費して船の性能を強化したり外観のカスタマイズも可能。
また、敵やクエストで知り合ったNPCは勧誘することで副官として雇うこともできる。
レベルの高い敵や難易度の高いクエストで知り合うキャラほど優秀な能力を持っているので、勧誘は積極的にやっていきたいところ。
選択肢で変化するストーリー
本作では重要な局面から何気ない場面まで選択肢が発生し、選んだものによってストーリーやクエストの内容が変化する。
例えば、襲い掛かってきた盗賊2名を倒すと
覚悟はできてるんだろうな
見逃す
という2つの選択肢が発生。
上の「覚悟はできてるんだろうな」を選択するとその場で止めを刺し、下を選ぶと盗賊は逃げていく。
という具合に選んだ選択肢で行動が変わり、その後の展開にも影響を及ぼす。
選択肢には以下の5つのタイプがある。
通常―展開に大きな変化はないが会話の内容が若干変わる
攻撃―脅迫or相手を暴力によって排除
嘘―使い方次第でプラスやマイナスの結果をもたらす
誘惑―相手に好感を示すor相手の誘いに乗る
終了―会話を打ち切る
会話イベントではこれらのうち1~3つ程度が出現。
先ほどの盗賊の例で言うと、止めを刺すのは「攻撃」で、見逃すのは「通常」にあたる。
これらは通常の選択肢以外アイコンによって分かりやすく表示されており、
攻撃は剣2本が交わっているマーク、嘘は天秤、誘惑はハートマーク、終了は右→と区別されている。
基本的には穏便に済ませた方が上手くいくケースが多いが、場合によっては攻撃や嘘、誘惑を用いて自分の有利な状況に持ち込ませることも可能。
会話の流れや周囲が置かれている状況などを見据えつつ選んでいきたい。
なお、本作はマルチエンディングとなっており、ストーリー上の選択次第で結末が変化。
特に家族関連の選択の中には、家族の生死に関わるものもあるため慎重に選びたいところ。
征服戦争
紀元前430年のギリシアでは、スパルタとアテナイが互いの覇権をかけて争っており(ペロポネソス戦争)、行く先々で戦闘が行われている。
本作ではこの戦いに主人公も加わることができ、これを「征服戦争」という。
征服戦争は突然発生するわけではなく条件があり、例えばアテナイが支配する地域がある場合、その地域のアテナイ兵達を排除することでアテナイの影響力を下げ、弱ったところにスパルタ側として参戦することで初めて戦争が可能となる。
もちろんその逆も可能で、スパルタが牛耳る地域を攻撃し支配力を弱め、アテナイ側としてその地域の征服戦争に参加することもできる。
主人公は元々スパルタ人ではあるが現在はスパルタの市民権を失っており、どちらの勢力にも所属していない。そのため、傭兵としての自由な立場から戦争に参加できる。
※征服戦争の結果や動向はストーリーに一切影響を及ぼさない
スパルタに協力するのかアテナイに与するのか、それとも状況に応じて味方する勢力を変えるのか、その選択はプレイヤー次第。
征服戦争が開始されると、特定のフィールドで両陣営が入り乱れて戦うことになり、スクショの上中央にある敵の戦力ゲージを0にすることで勝利。
勝利すると報酬として経験値やアイテムが獲得でき、その地域の支配状況が変化する。
ただし、プレイヤーが征服戦争に参戦せずとも勢力争いはリアルタイムで繰り広げられており、場合によっては以前スパルタが奪った地域がアテナイに奪い返されている(逆も然り)ことも多い。
このことから分かるように、征服戦争は(ストーリー上行われるものを除き)必ずしも参加する必要はなく、そのことによってゲーム上の有利・不利を負うこともない。
報酬が旨いちょっとしたクエストという理解で問題ないだろう。
感想
良かった点
選択で変化する物語
本作は大筋こそ大して変化しないものの、選択次第で会話やクエストの内容、果てはキャラの生死にいたるまで展開が変化するのがすごくよかったです。
そのためクエスト一つとっても、会話の流れや内容を注意深く聴くことになるので、印象に残ったクエストも多かったですね。
特にミコノス島関連のクエストは終わった後虚無感すらありました。
善人プレイだけでは最後の最後に後味の悪い結末もあるんだなって・・・。
クエストでこんな気分を味わったのはウィッチャー3の血まみれ男爵以来でした。
また、メインストーリーは(相変わらず心理描写は薄いですが)目的が明確で分かりやすく、「あれ今何してるんだっけ?」状態になることもなく没頭できました。
骨子となる部分も「家族を取り戻す」というポジティブな面が強調されていて、比較的感情移入しやすかったように思います。
なんとなく光明が見えてきた現代編
デズモンドの死亡以降グダグダになり、広げ過ぎた設定をゲーム内ではなく関連書籍(一部日本未発売)で補完しだすなど、存在自体がネックになっている現代編ですが、
前作からレイラをはじめとしたプレイアブルキャラが登場し、本作ではアサシンのチームとしての活躍が描かれるなどようやく真面目に現代編追ってもいいかもなぁと思えてきました。
レイラの人間性ややらかしはともかく、現代編にもストーリー的な意味で力を入れてきているのが伝わってきます。
この調子で昔の作品のように、「過去編がいいところなのに現代編に場面転換、現代編のいいところで過去編に戻る」という流れが復活するといいですね。
悪かった点
カタルシスがないエンディング
一番いただけなかった部分。
本作における主人公の目的は大きく分けて3つあり、
①生き別れになった家族を探し出す
②コスモスの門徒を壊滅させる
③人の手には余るほどの強大な力が眠るアトランティスを封印する
という具合で、これら3つにはそれぞれエンディングが用意されています。
※優先順位としては①≧②≧③
それ自体はとてもいいと思うんですが、ただ残念なのがどのエンディングも非常にあっさりしているとこで、
①のエンディングは家族でちょっと団欒して終わり(その時間なんと数十秒)
→あまりにもあっさりだったので良くないEDだったかと思いググると、どうやら一番いいEDと知りちょっと愕然
②のエンディングは全滅させたものの特に協力者からの賛同はなく、社会が良くなった形跡もなく終わり
③にいたっては「この続きはDLCで!」という露骨な終わり方
というようにエンディングっぽい演出やエンドロールもなく、カタルシスがないに等しいです。
特に①と②に関しては、主人公が旅を始めた理由そのものと言っていいはずなのに扱いがなんか雑に感じましたね。
主人公的には良くてもプレイヤー的には全然しっくりこない。
エンディング見たさで頑張ったのになぁ・・・。
また、本作はボリュームが多く、①のエンディングに到達した際のプレイ時間は52時間、②と③のエンディングは73時間というように、一つのゲームとしては長めのプレイ時間を要するだけに余計カタルシスのなさを感じましたね。
やっぱりエンディングはたとえ過剰で長くても、それっぽい演出は必要だと思います。というか思わされました。
暗殺が隅に追いやられている感
アクションRPG路線に舵を切った「オリジンズ」の流れを汲んでいることもあって、本作は正面からの戦闘を前提としたバトルシステムになっており、前作と同様に暗殺要素が薄まっています。
暗殺系のスキルを強化すれば格下や同格の雑魚には大体暗殺可能ですが、指揮官や隊長などの精鋭が相手だとダメージは与えられるものの基本的に暗殺はできません。
前作もそうでしたが、暗殺が肝のシリーズなのに、暗殺がままならないというのはやっぱりストレスでした。
完全に敵の死角を突いてるのに、一撃で仕留められないのは流石にかっこ悪い・・・。
この状況が辛かったので、自分は「アサシン教団どころかアサシンという概念すらない時代だし、暗殺が技術として体系化されてないんだからしょうがない」と勝手に補完してやってましたね。
ローカライズが少し甘い
アサクリシリーズは海外発のゲームである点や、本作はイベントムービーだけで30時間ある点を売りにしており翻訳量が膨大という点を考慮する必要がありますが、そうだとしてもローカライズがところどころ怪しいと感じる部分がありました。
前作と比べると過剰にも思える不必要な指示語の量は減っていますが、例えば会話などで
依頼人「〇〇に行って××を始末してくれ」
に対する返答が
主人公「〇〇に行って××を始末してこよう」
というように、決して間違ってはいないけど会話としては丁寧すぎて逆に不自然な部分はちょくちょく見受けられました。
上の部分に関しては、多少原文を無視しても「分かった、引き受けよう」ぐらいでいいと思うんですが・・・。
また、明らかに翻訳が間違っているものもあり、
「コスモスの門徒」に関する手掛かりの場所が「△△の近くの洞窟にある」という風に書かれているのに、実際は△△の海岸沿いにあるなど攻略に支障が出るものもあったりします。
これに関してはいくら探してもそれらしき場所が見つからなかったので、不本意ながら攻略サイトを頼りに見つけました。
こんなん分かるわけないだろ!
あと気になったのは、
相手が実は双子だったことを知った主人公の反応が「一卵性の双子!?」という点
→これは翻訳以前に原文が気になります。そもそも古代ギリシアで一卵性という考え方はあったんでしょうか?
敵に追われているNPCに仲間にならないかと誘ったら「ありがとう、その言葉だけで十分だ。またな」と言われ、断られたかと思ったらその直後仲間に加わる
→(単なるバグの可能性もありますが)いやどっちやねんと・・・
などでしょうか。
おわりに
ボリュームが増したことによる弊害や、アクション路線への変更によって暗殺要素が不遇な点など気になる部分はありますが、クオリティは流石アサクリといった感じで高く、プレイ中は他のゲームを触る暇がないぐらい没頭できました。
ただ贅沢な話ではありますが、ボリュームは気持ちもうちょっとだけ少なくしてもらえるとありがたかったですね。
膨大過ぎて途方に暮れることもあったので・・・。