はじめに
ここでは、『キングダムハーツ メロディーオブメモリー』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は2020年に発売された音ゲーで、カイリを主人公にソラを捜すため記憶世界を巡るという作品になっています。
外伝というよりも続編の色が濃いので、繰り返しになりますが(前作も含め)ネタバレにご注意ください。
ゲーム概要
ストーリー
内容的には『キングダムハーツ3』およびDLCの「Re Mind」からの直接の続編。
カイリを主人公とし、自らに眠る記憶を巡ってソラの手がかりを捜す。
が、最終盤まで新規ストーリーはなく、ゲームの大部分は音ゲーをしつつダイジェストムービーでこれまでの歴史を振り返っていくことになる。
本作の特徴
カイリの記憶を辿る物語
本作では、『Ⅲ』で消えてしまったソラの捜索をカイリ視点で追っていく物語となっている。
レイディアントガーデンでアンセム達の力を借り、自分の記憶世界にダイブしてこれまでのストーリーを追体験し、ソラの手がかりを追っていく。
ストーリーは「ワールドトリップ」というモードをプレイして進めていくことになるが、このモードは本編同様グミシップでディズニワールドを巡るというスタイルになっている。
※ただし、グミシップのカスタマイズ機能はない
各ワールドにはそれぞれ1~2曲のステージがあり、またステージごとにミッションが3つずつ存在。
これらのミッションのクリア数が一定数を超えると次のワールドへの扉が開き、先に進めるようになる。
なお、ストーリーの時系列は「Re Mind」のリミットカットエピソードと同じ。
一応『Ⅲ』をプレイしていれば「Re Mind」はやっていなくても話についていくことはできるが、時間的にはⅢから1年後が舞台なため、やや唐突感があるかもしれない。
アクション風音ゲー
本作はれっきとした音ゲーだが、キングダムハーツは(一部タイトルを除き)アクションゲームであるためか、音ゲーは音ゲーでもアクションの風味がある音ゲーになっている。
ノーツを敵に見立て、それに攻撃することで撃破=スコアを稼ぐという体裁をとっており、プレイ感覚はなかなか斬新。
ただし、本編のようにキャラを任意の方向に移動させるということはない、というかできず、通常の音ゲー同様ボタン入力が操作の全てになる。
つまりプレイ感覚としてはアクションのようだが、ゲーム自体は純然たる音ゲーだと考えていい。
また、ゲームでは3人一組でパーティーが作られており、
・ソラ/ドナルド/グーフィー
・ロクサス/シオン/アクセル
・リク/ワンダニャン/コウモリバット
・アクア/ヴェントゥス/テラ
の4つのパーティーからいつでも自由に変更できる。
ちなみにパーティーごとにレベルの概念があったりステータスが存在するが、実質飾りのようなもので高いor低いからといってゲームが進めやすくor進めづらくなったりはしない。
140曲以上を収録
楽曲は全部で150曲。
この中にはリミックスや別バージョンがあるものも含まれているので、それらを抜くと実質143曲が収録されている。
「光」や「passion」などの主題歌ももちろん収録されており、基本どころは全て網羅されており、これ一本でシリーズのBGMを堪能できるだろう。
ストーリーの詳細
おそらく一番気になる部分だと思うので、本作のストーリーの流れをまとめてみました。
ガッツリネタバレしているためお気をつけください。
ソラの行方を捜す手がかりを見つけるため自分の記憶を辿るカイリ。
その過程で記憶の中のゼアノートに遭遇、そしてゼアノートから「ソラは光でも闇でもない裏側の世界にいる」という情報を得る。
その後レイディアントガーデンでリクやアンセム達と検討を重ねた結果、「ソラは光でも闇でもない裏側の世界―すなわち虚構の世界にいるのではないか」という推論にたどり着く。
リクとともにカイリ達のもとを訪れていたフェアリー・ゴッドマザー(シンデレラに登場する魔法使い)によると、ソラの行方を知る手がかりを持つ者はリクとカイリの他にもう一人いるという。
※ここでいう手がかりとは、リクは夢(近代都市でソラを捜す夢)、カイリは記憶(ソラとの強い繋がり)を指す
二人はマザーと共にその人物がいるという終わりの世界へ。
終わりの世界にいたその人物とは、『Ⅲ』で登場したネームレススター(終わりの世界でソラと関わりを持った実体を失った少女)であった。
ネームレススターは、リクの夢に出てくる都市がおそらく「クァッドラトゥム(虚構の世界)」なのではないかと推測。これを聞いたマザーはソラもきっとそこにいると考え、ネームレススターにソラ捜索のため協力してほしいと持ちかける。
これに対し是非協力させてほしいと快諾した彼女は、自らがポータル(異世界へ繋がるゲート)となり、クァッドラトゥムへの扉を開く。
リクはソラを追ってクァッドラトゥムへ。カイリはイェン・シッドに調査結果を報告した後、力をつけるためアクアのもとを訪ねることを決めエンディング。
ちなみに、ミッキーこと王様はリクの後を追おうとするがイェン・シッドに止められ、代わりにスカラ・アド・カエルム(『Ⅲ』でソラ達がゼアノートと戦った世界)の調査を命じられる。
つまり各々の今後をまとめると、
リク―ソラを追ってクァッドラトゥムへ
カイリ―修行のためアクアのもとへ
王様―調査のためスカラ・アド・カエルムへ
ということになる。
感想
良かった点
楽曲の良さ
BGMにおいても評価の高いキンハーシリーズなので、ゲームに使用される楽曲は当然クオリティが高く、印象に残っているものが多いです。
なのでプレイ中はゲームの思い出に浸りつつ、「そうそうこの曲」とか「あーこんな曲あったなぁ」なんて思いながらプレイしてました。
ちょっとした同窓会気分でしたね。
ちなみにアナ雪のレットイットゴーもフルで収録されています。
また、基本的に本編で使われた曲はそのままの形で流用しているため、この手のゲームにありがちな出来の悪いアレンジで曲数稼ぎというのは見受けられません。
これらの点はシンプルによかったかなと。
・・・なんかゲームの良さというより曲の良さを書いてるだけになってますね。すみません。
DLCがない
これもゲームの良さとはまた違うかもしれませんが、一応評価できる部分ではあるので書いておきます。
本作にはDLCが一切存在しません。
なので「この曲が欲しい?ならDLCを買おう!」みたいな阿漕なやり口は全くないです。このゲームだけで完結しています。
逆に言えば本作に収録されていない楽曲(ターザンやパイレーツオブカリビアン関係など)は諦めるしかないですが、不完全なままで売ってDLCで完成するみたいなスタイルじゃないだけ遥かにマシだと思いました。
スクエニにしてはかなり良心的だなぁという感じ。
まぁできて当たり前のことではあるんですけどね・・・。
安価で買える
これもゲームの良さとは(以下略
このゲーム発売から数カ月もしないうちに値崩れしたため、新品でも2000円ちょっとと安価で買えます。
自分は2021年3月にアマゾンで新品を2200円で買いました。
同じ時期に近所のゲオを覗くとほぼ同じぐらいの値段で売ってたので、おそらくどこで買っても安くで手に入るかと。
定価で買ってたら後悔したと思いますが、2000円で買えたにしては結構遊べたので満足度は割と高いですね。
ストーリーは短いものの、曲数が多いのでちょいちょい引っ張り出してプレイするかもしれません。
悪かった点
視認性が悪い
一番気になった点。
音ゲーは音ゲーでも、操作キャラが敵に見立てたノーツを攻撃するという形であるため、エフェクトの派手さで画面が見づらいことが多いです。
特に△で放つ特殊技はものによってはエフェクトが無駄に派手で、次に来る敵が分かりづらいものもあります。
上記スクショのロクサスのイベントホライズンなんかは派手な方ですね。
後ろの敵が見えなくなるので、譜面が分からない初見時にこれやられるとちょっとパニくります。
「じゃあ使わなきゃいいじゃん」と思われるかもしれませんが、△でしか受け付けないノーツがあるためここは避けて通れません。
まぁパーティ変えればいい話ではあるんですが。
ボス戦が面白くない
ワールドによってはボスステージがあるんですが、このボス戦は通常とは違いノーツが上からではなく左方向から流れてきたり、ネガティブタイムという特殊な区間が発生しここでどれだけ失敗したかによって被ダメージが増減するなど勝手が違います。
なのにチュートリアルはかなり簡単な説明で終わり、じゃあやってみようと言わんばかりに急にボス戦が始まるので初見時は苦戦必至です。
ボス戦に限らずこのゲーム全体的にチュートリアルが結構投げやりな感じだったりします。
ただそれ以上に残念なのが、なんとかクリアしても本編のように倒すことはできず、ボスの逃走を許して終わりなためカタルシスがありません。
普通に撃破じゃダメだったんでしょうか。
いつ終わるのか不安になるストーリー
ガッツリではないとはいえ、本作では普通にストーリーが進展します。
ナンバリングではないのに事実上の続編となっているキンハー特有の悪い部分です。
まぁそれはいつものことなので置いておくとして、本作にて虚構の世界やらなんやらで世界観がまた広がっていくわけなんですが、これほんとにいつか終わらせる気があるのか心配になってきますね。
次回作はソラがいる(と思われる)虚構の世界とこれまでの世界の二つの次元で話が進んでいくわけですし、着地点が見えないどころか風呂敷がさらに広がってて収拾つけられるんだろうかと不安になります。
というか虚構の世界ってディズニーキャラとかどうするんでしょうか。XIII機関よろしくまたオリキャラのオンパレードとかになるなんでしょうか。
その点でもなんか不安ですね。
おわりに
以上、『キングダムハーツ メロディオブメモリー』のクリア後レビューでした。
フルプライスで買っていたら大いに不満が残ったと思いますが、2000円程度であればシリーズファンの方に結構おすすめできる作品です。
ゲーム中に挿入されるムービーで過去作を振り返られるので簡単な復習もでき、かつ良質な楽曲を多数収録しているのでファンアイテムとして持っておいても損はないのかなと。
ただ、ディレクターの野村さん曰く「シリーズ未経験者の人たちにも本作をおすすめしたい」とのことですが、
・経験者ですらこんがらがる設定&造語の多さ
・起承転結の承と転がほぼ端折られるムービー
・碌な説明がないまま新キャラが登場してはいなくなるの繰り返し
なので、未経験者の方にはとてもじゃないですがおすすめできません。
用語解説とかキャラ紹介があったらまた違ったんですが、そういった配慮は一切ないです。配慮がないのにおすすめしたらダメでしょ野村さん・・・
良くも悪くもファン向けのゲームと言えます。
シリーズを重ねた結果設定だけでなく人間関係も複雑になってますし、今後どういう展開をしていくのか、新規層をどう取り込んでいくのか色んな意味で注目ですね。
ただ次に動きがあるのはいつになることやら・・・。