サイトアイコン 徒然なるままにゲーム誌

『極限脱出シリーズ』をまとめてレビュー/三作にわたって繰り広げられる裏切り合い【ネタバレ注意】

画像出典:ZERO ESCAPEシリーズ 総合サイト

スポンサーリンク

はじめに

ここでは、極限脱出(ZERO ESCAPE)シリーズのレビューをつらつらと書いていきます。

本当は2019年やったゲームをまとめてレビューするという記事の一部として書いていたんですが、かなり長くなってしまったので個別の記事にしました。

なので、全三部作のレビューをここで一気にしていきます。

※クリア後の観点から書くためネタバレ注意です

ゲーム概要

9人の男女が何者かによって閉鎖空間に閉じ込められ、そこから脱出を図るというゲーム。

元々はDSやVitaなど携帯機で出たゲームですが、全てps4に移植され3作品セットで販売されています。

三部作のシリーズものなので大筋は繋がっているものの、単体でもストーリーを楽しめる作りになっています。

また、各作品に共通する特徴として、

・ルート制を採用しており、エンディングが複数に分岐している

・9人は基本的にお互い初対面(一部は顔見知りだったり仲間だったりする)

・強制的にゲームに参加させられクリアすれば脱出、失敗orルール違反を犯せば死亡

・脱出パートとその先にあるメインゲームの2つに分かれている

・ゲームはルール違反さえ犯さなければ、協力、裏切り、殺人など何でも可

などが挙げられ、全体的にえぐいサスペンスなゲームとなっています。

分からない方には申し訳ありませんが、映画『SAW』シリーズを少しマイルドにしたような感じです。

なので精神的ストレスがかかるゲームと思っていただけたら。

9時間9人9の扉

記念すべきシリーズ第1作目。

豪華客船に閉じ込められた9人の男女が、ノナリーゲームという数字をモチーフにしたゲームに参加させられるという話。

ノナリーゲームの基本ルールは、

・制限時間は9時間

・9人にはそれぞれ1から9までの数字が記された腕輪が装着されている(取り外し不可)

・違反を犯せば即座に腕輪が爆発し死亡、無理に取り除こうとした場合も同様

・先に進むためには腕輪にある数字を基に数字根を作らなければならない

※数字根とは数字同士を足していった結果得られる1桁の数のこと

例えば数字根3を作るには、2+4+6=12、1+2=3となるので2、4、6が必要

数字根2を作るには、1+3+7=11、1+1=2となるので1、3、7が必要となる

・行く先々にはナンバリングドアという数字根が書かれたドアが存在し、開けるためにはその数字根と同じになるよう参加者が調整する必要がある

・ただしナンバリングドアに入れるのは一度に3人から5人、それ以上かそれ未満ならルール違反でペナルティ(死亡)

→つまり先に進むには最低でも3人必要

・一度開いたナンバリングドアは9秒後に自動で閉められ、二度と開かない

と、長ったらしく書きましたが、要は脱出するためには協力するなり裏切るなりしなければならないというゲームです。

理想は協力一択なんですが(単純に人数が減ると先のドアが開けなくなるリスクが上がるため)、状況が状況なだけに全員隙あらば出し抜こうとしてゲームが乱れます。

理屈は分かるけどそれを実践できるかどうかは別問題ということですね。

まぁそもそも自分以外の参加者を信用していいのかすら分からないので無理もありません。

そういった策謀渦巻く状況でどう脱出するかというスリリングさが本作、ひいてはシリーズ全体の特徴です

その性質上刺激が強い描写が多いので、そういったのが苦手な方は要注意です。

善人シボウデス

シリーズ2作目。舞台は謎の巨大な施設。

9人の男女が閉じ込められるというのは同じ(ただし大部分は前作メンバーではない)ですが、本作はノナリーゲームではなくアンビデックスゲームという新しいゲームをさせられます。

これはいわゆる囚人のジレンマを基にしたゲームで、

・参加者はそれぞれ持ち点を持っており(最初は3)、これを9点以上にすると脱出できる

・ゲーム開始前にソロかペアかがランダムに割り振られ、1対2で対戦

※ソロかペアか、および対戦相手はゲームごとにランダムで変わる

ソロ同士、ペア同士が対戦することはない

・ゲームは協力か裏切りかを選ぶというシンプルなもの

お互い協力を選んだ場合―お互いに+2

片方が裏切り、片方が協力―裏切った方に+3、協力を選んだ方は-2

お互い裏切りを選んだ場合―点数の変動はなし

これを参加者の誰かが脱出するまで行う

・0になると装着されている腕輪から睡眠薬と筋弛緩剤が注入され眠るように死亡

・9点以上になったプレイヤーは9と書かれている扉から脱出できる

・一度開かれたゲートは数秒後に自動で閉まり、以後二度と開かれない

というこれまたシビアな内容になっています。

このゲームも前作同様、理想はお互い協力すること(互いに協力なら+2点、全員これを3回行えば9点になり皆で脱出できるため)です。

というか協力以外合理的な選択ではないんですよね。

対戦相手は毎回変わるから、一度でも裏切りを選ぶと他の参加者が警戒して自分と対戦する時協力を選びづらくなりますし。

しかもただでさえ妙なところに閉じ込められてお互い疑心暗鬼なのに、その上相手に「あいつは信用できない」と猜疑心を植え付けてもメリットありませんしね。

が、スタート時は持ち点3の状態なので、2回裏切りに成功すれば9点になるという美味しい餌がぶら下がってるため、みんなそう簡単に協力は選びません。

特に前作のように、脱出するには最低でも3人必要という縛りもないのが裏切りを助長させます。

極論自分さえ脱出できればそれでいいわけですからね。

自己の利益を追求するあまり合理的な選択ができない、ここら辺が囚人のジレンマっぽく仕上がっています。

以上のようなゲーム性なので、裏切ったり裏切られたりするのが当たり前で結構精神的に参ります。

なのでストーリーが気になるから先に進めたいけど、しんどいし今日はもう無理ということが多かったですね自分は。

のめり込むほど面白いんだけどきつい、そんなゲームです。

正直二度とやりたくない・・・

刻のジレンマ

シリーズ3作目にして完結編。

舞台は地下の核シェルター。

閉じ込められてゲームをさせられるのは同じですが、本作はとある実験中に謎のゲームに巻き込まれたという設定のため、ほぼ全員が顔見知りです。

また、前作の主人公とヒロインに前々作の主人公とヒロインも登場するという完結編に相応しいオールスターな感じになっています。

ちなみに、上の画像で銃口突き付けられてるガタイのいい青年が前作主人公です。

本作で行われるゲームはノナリーともアンビデックスとも違うディシジョンゲームというもので、ルールは

・3人で1つのチームを作り、計3チームで脱出をかけて脱出ゲーム(閉じ込められた密室からの脱出)をする

・チームごとにシェルター内に区画が分けられ、それぞれ決められた区画内でしか行動できない

他のチームと連絡は取れない

・ゲームはラウンド制で、1ラウンド90分という制限時間が決められており、90分経つと装着された腕時計から睡眠薬と記憶消去薬が抽出される

つまり90分ごとに記憶が消されるため、状況把握が困難となる

・シェルター中央に脱出用のエレベーターがあるが、ここに6つのパスワードを入力しなければ起動できない

・パスワードは参加者がそれぞれ1つずつ持っており、死亡すると全員に公開される

エレベーターは一度起動されると以後二度と起動しない

・ゲームは脱出者が現れるか全員が死ぬまで繰り返される

3チームでゲームを行うという今までとは全く違うゲーム形態です。

そのため、これまでのように協力が理想というより協力が前提になっています。

また、ほぼ全員が顔見知りなためか全体的にやや結束力があり、誰かを蹴落とすといった描写が今までの作品に比べると少なめです。

が、グロ描写はシリーズ随一

ちょっとしたことがきっかけで疑心暗鬼に陥りチーム内でチェーンソー持って殺し合ったり

強酸性のトラップにひっかかって全身を文字通り溶かされたりするなど、

ここには書ききれないほどグロい描写が多いです。

そういうわけで、本作はサスペンスというよりややスプラッター寄りな感じです。

感想

シリーズ全体を通しての感想を書いていきます。

特にこのゲームのここが良かった/悪かったという点を挙げる際は、()でゲーム名を入れてます。

良かった点

癖が強いキャラ達

どの作品にも言えますが、キャラの個性というか癖が強く埋没している人物が一人もいませんでした。

特に1作目の『9時間9人~』はこういうクローズドサークルものに出てくる人物のテンプレを踏襲しており、

・自分さえよければ他はどうでもいいと思ってる自己中

・粗暴で見た目はいかついけど意外と優しくて頭がいい大男

・最初はヒステリック気味だが徐々に順応し力を発揮する女性

・理知的でリーダーシップがあり周囲の信頼を集めているがその本性は・・・な紳士

など、ちゃんとキャラが立っててよかったです

のめり込むが故のストレス

これもどの作品にも言えますが、相手がNPCとはいえ、場合によっては約束を反故にしたり裏切ったりするのは結構ストレスでした。

正直もう1回やれと言われてもしんどいから無理だと思います。

でもこれって考えてみれば、行動にストレスを感じるほどゲームにのめり込めたということだと思うんですよね

特に裏切った相手のガチで生々しい本音を聞く時は胃がキリキリするぐらいでしたし。

何とも思ってないNPCを裏切ったところで別に何も感じないでしょうしね。

そういう意味では、物語や主人公に感情移入できてたのかなーと。

それぐらいスッと入っていけるシリーズでした。

悪かった点

一部後味が悪い

一部キャラの扱いのせいで後味が悪い部分がありました。

書き出すと長くなるので簡潔に書くと、今までの主人公とヒロイン、そして一部のキャラはSHIFTという並行世界へ意識を飛ばせる能力を持っています

この能力によって意識を並行世界の自分へ飛ばし、分岐を変えながら理想の結末を模索するというのがゲームの真の目的です。

ルートを変えつつエンディングを回収するという我々プレイヤーのメタ的な行動を、ゲーム上の設定として落とし込んだという感じですね。

ただその能力を持っていないキャラも当然いるわけなんですが、そういったキャラの後日談が一切語られません

持ってるキャラはいわゆる真ENDに行けてよかったねとなるんですが、持ってないキャラはそういうEDにたどり着けないので、おそらくたどり着けなかった歴史に取り残されます。

特にシボウデスは一部キャラが取り残されたという描写が明確になされています。

が、前述した通り、その取り残された側の後日談が一切語られないので、なかなか後味が悪かったです。

(シボウデス)どっちにしろ叩かれる主人公

シボウデスは、エンディング回収のため時にはこちらから裏切らないといけないんですが、裏切った場合周りから手ひどく叩かれます

「見損なった」とか「自分さえよければそれでいいのか」とか散々言われます。

まぁ実際その通りなんですが、問題は言った側

言った側が別ルートで主人公を裏切り、それを主人公が批難しても

「ルールの範囲内だから問題ない」

とか

「簡単に人を信用するお前が悪い」

とか普通に開き直ってきます。

まぁこれもその通りではあるんですが、主人公の分身であるプレイヤーからすれば釈然としません。

どっちにしろボロクソ言われるしそもそも「お前が言うな」だしでなんかイラっとします。

主人公も主人公で強く言い返そうとしないので余計腹が立ってきます。

まぁある意味タイトル通りではあるんですけどね。

善人じゃこのゲームやってられないぞ的な。

でも自分は結構根に持つタイプなので、「お前あとで覚えとけよ」ってずっと思ってました(笑)

おわりに

脱出ゲームが好きな方には是非おすすめできるシリーズです。

真EDを見るだけでトロコンできるので、プラチナ狙いの人にもおすすめですよ。

モバイルバージョンを終了