はじめに
ここでは、『Layers of Fear』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は2016年にBloober Teamによって開発されたホラーゲームで、プレイヤーは画家を操作して自身の屋敷で過去に何があったのかを追体験しつつ、画家の絵を完成させるという作品になっています。
ゲーム概要
ストーリー
舞台はとある古びた屋敷。
画家である主人公は、自らの過去や後悔に決着をつけるため、かつて妻子とともに住んでいた屋敷を訪れる。
そして屋敷での記憶を追体験しながら、自身が目指す傑作の絵画の完成を目指すのであった。
本作の特徴
屋敷を歩き回るホラー
本作は、かつて住んでいた屋敷を歩き回り、怪奇現象に見舞われつつもそこで何があったのかを思い出していくというスタイルの一人称型ホラーゲームとなっている。
そのため、屋敷を探索し過去の一端を物語るアイテムを収集することでストーリーを把握していくことが本作のメインであり、アクション要素は薄い。
また、ホラーと言っても前述の通り、怪奇現象(道が塞がれたかと思いきや振り返ると新たな道ができている、飾られている絵画が急に変化するなど)こそ頻発するものの、ゾンビやら怪物が出てきて追いかけ回されるということはない。
なので、アクション要素の強いホラーが苦手という場合でもクリア可能。
一言で言えば「雰囲気や演出で怖がらせてくるタイプのホラー」となっている。
絵画の完成を目指す
特徴的な要素。
本作では特定のアイテムを収集していくことで絵画が徐々に出来上がっていき、最終的にどのような絵画が完成するかでエンディングが分岐する。
※エンディングは全部で3種類
その性質上、ストーリーの全容把握には周回プレイが必須なため、多少は人選ぶだろう。
感想
良かった点
静と動の同居
本作は、何の前触れもなく大きな物音が鳴ったり、急に物が落ちてきたり、突然床が抜けたりという具合にビックリ要素が多く、「ザ・洋物ホラー」という印象が強いです。
が、その反面ゲーム全体を取り巻く雰囲気は常に不気味かつジメっとした感じで、なんというかジャパニーズホラーのような湿度の高い恐怖感を想起させます。
そのため、ホラーとしては滅茶苦茶怖いというわけではないものの、この静と動の同居が上手いこと噛み合ってるだけに巧みに恐怖を煽ってきてる感がありました。
ちょっとしたお化け屋敷にいるような気分でプレイできるかと。
絵画とホラーの親和性
絵画ってものによっては不気味な印象を受けますが、本作ではその不気味さを上手く利用してホラーの一要素として生かしています。
絵自体は本作オリジナルのものではあるものの、どこかの美術館にあってもおかしくないと思わせる妙なリアリティがあって尚更怖いです。
このゲームやってて思ったんですが、絵画とホラーの親和性って高いですね。
実際「絵画 不気味」で検索するとこれ以上に不気味というか怖いのがうじゃうじゃ出てきて、芸術のホラーとしての一側面を感じ取った次第です。
小さい頃、ムンクの『叫び』を見て大泣きしたのを思い出しました。
画家の狂気
ストーリーを追っていくと主人公である画家の狂気に触れていくことになるんですが、これがかなりサイコです。
このゲーム絵の完成を目指すというのが目的の一つなわけですが、絵に使う材料からもうやばく(グロ注意:血液、皮膚片、指など)、という感じで完全に頭イっちゃってます。
しかも(皮膚片)を何に使うのかって言ったらキャンパスですからね。シンプルに頭おかしいです。
ただ、ゲームの舞台となる屋敷は主人公の妄想の世界なので、実際にこんなグロテスクなことをやってるわけではありません(絵を納得いくまで描き続けているのは本当)。
まぁ普通ならそんなやばい妄想はしないので、どっちにしろ精神に異常をきたしてはいるんですが・・・。
総合的に考えるなら、妻の死を嘆き悲しみ、最高の妻の自画像を描くことに囚われ狂気に走った画家を追うというのが本作のストーリーなのかなと。
そんな感じで頭おかのオンパレードなので、間違いなく好みは別れるでしょう。自分は嫌いじゃなかったです。
ちなみに、ストーリーに関して詳しく知りたいという方は、LTSさんという方が書かれた下の考察記事をどうぞ。
どんな話だったのかが分かりやすくまとめられています。
※結末まで書かれているのでネタバレ注意です
悪かった点
(視覚的な意味で)暗い
夜中に探索しているということもあってか屋敷は暗い箇所が多いです。
頼みとなる光源も、蝋燭の火や小さい電球という気持ち明るくなる程度のもので、なおかつそういった光源も怪奇現象で突然消えたりするので、暗い中での探索が多い印象を受けました。
一度消えても再度灯火は可能ですが、どこに蝋燭or電気のスイッチがあるか探すのに苦労することもしばしば。
なのでもしプレイする場合は明るさ設定をいじっておいた方がいいです。デフォルトはマジで暗いですから。
操作性が悪い
シンプルに良くない点。
このゲーム全体的に操作性は悪いです。
振り返ることでできる道を進むことが多いのに一発で後ろを振り向けない、引き出しがなかなか開けられないなど、基本ストレスを感じながらのプレイでした。
特に引き出しは三段四段あると開けづらくて(開けたい段に視点を向けながらR2+右スティックで引くという回りくどい手順を踏まされる)イライラしてきます。
でも多段の引き出しに限って重要アイテムがあったりするのでスルーできないという。
この操作は最後までなれませんでしたね。
あと、これは操作性とはあまり関係ないですが、主人公は片足が義足のため移動時は視点が揺れます。
通常ならタッタッタッという規則正しい揺れのはずが、義足の方が上手く機能してないのかタタッタタッという風に片足を引きずる感じで歩くのでグラグラ視点がデフォです。
これが酔いを誘発するので、酔いやすい場合は設定でオフにしておきましょう。
ゲームとしての緊張感が薄い
本作はゲームオーバーという概念がないため、プレイしているとどうしても緊張感が薄れてきます。
その代わりに最大限恐怖感を煽ってくるにはくるんですが、ゲームのテイストが分かってくると「あーこの辺でビックリ演出来るな」とあたりがつくので、いささか単調に感じてしまうのは否めませんでした。
早くここから出ないと襲われてゲームオーバーとか、敵が来る前に早いとこ謎解きしないとみたいな焦らせる要素がないのは長所でもあり短所でもあるのかなと。
ただし、死亡するという概念自体はあり、後半になるとたまに出現する妻の霊に遭遇すると死亡します。
が、死んでもやり直しとかはなく、死んだ場所の近くで目を覚ますという形でプレイ再開です。
ちなみに初めて死んだらトロフィーが入手可能。
おわりに
以上、『Layers of Fear』のクリア後レビューでした。
静と動が上手いこと噛み合ったホラーゲームです。
ホラーは苦手だけど興味はあるという方には割とおすすめできます。
ただし、何かに追いかけ回されたり、敵を撃退するというような要素はないので、そういうのが好きな場合は要注意です。