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『真・女神転生3ノクターン HDリマスター』クリア後感想 カオスな世界観と気の抜けない戦闘が刺激的なRPG/ただし移植作としては不満も【ネタバレあり】

画像出典:My Nintendo Store

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はじめに

ここでは、『真・女神転生3ノクターン HDリマスター』をクリアした感想をつらつら書いていきます。

クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です

本作は、2003年にps2で発売された『真・女神転生3』を現行ハードでHDリマスター化した作品となっています。

内容はマニアクスに準拠

リメイクではなくリマスターなので、そこはご注意ください。

ちなみに、3とナンバリングが付いていますが、ストーリーは過去作と直接の繋がりはないので、本作がシリーズ初プレイでも全く問題ありません。

ゲーム概要

ストーリー

200X年、東京。

新宿のとある病院に入院しているという担任の高尾裕子を見舞うため、クラスメイト達とともに病院を訪れた主人公。

しかしその病院は人のいる気配が全くなく、先生の姿も見当たらなかった。

不審に思いつつも手分けして探し回った結果先生を見つけることはできたが、その後まもなく「東京受胎」と呼ばれる超常現象によって世界は崩壊し、人類は病院内にいた数名を残し全滅。

そして、東京はカグツチという太陽のような発光体を中心に球形となった異世界・「ボルテクス界」へとその姿を変えてしまう。

悪魔の身体に人の心を宿した半身半魔の存在―人修羅として目覚めた主人公は、悪魔が跋扈する異世界となった”トウキョウ”で、離れ離れになってしまった先生やクラスメイト達を探すべく、当てもない旅に出るのであった。

本作の特徴

退廃×オカルトの混沌とした世界観

本作は、異世界となったトウキョウを舞台に展開されるRPGとなっている。

そこかしこに廃墟が立ち並び、東京だった頃の面影を残しつつも、人間はごく一部を除き全滅し、代わりに悪魔が蔓延るというカオスな世界がベースとなっており、アクはなかなかに強め

用語はカオスというよりオカルトチックで、「東京受胎」「アマラ経絡」「マガツヒ」などこちらも独特。

仲間は悪魔

上述のように本作では人間がほとんど存在しないため、ゲーム中に登場するのは基本的に悪魔が多い。

なので必然、敵も味方も悪魔が中心となる。

悪魔は人間ではないので意思疎通は不可能に思われるが、彼らは人語を理解しているため問題なくコミュニケーションをとることができ、時には直接交渉することによって仲間に引き入れることが可能

一部の悪魔は交渉で仲間にすることはできないが、そういった悪魔は「邪教の館」と呼ばれる施設で「悪魔合体」させることで仲間にできる。

悪魔合体とは「2体の悪魔を選び合成させることで新たな別の悪魔を生み出すシステム」のことで、これによって生み出された悪魔には、元となった悪魔のスキルが一部引き継がれる。

なお、交渉によって仲間にできる悪魔も、この悪魔合体で生み出すことが可能。

つまり、悪魔合体は仲間を増やす手段であると同時に、仲間にしたい悪魔の性能を厳選する時に有用となる。

コマンド選択型の戦闘

本作の戦闘はコマンド選択型のオーソドックスな形式となっている。

攻撃面では「物理・衝撃・精神・火・氷・電・破魔・呪殺」の8つの属性が存在し、簡単に解説すると、

物理―いわゆる普通の攻撃
衝撃―物理属性のある魔法
精神―相手を状態異常にさせる
火・氷・電―文字通りの属性攻撃
破魔・呪殺―一撃必殺の即死技が多い

※他にも万能属性攻撃やバフ・デバフなども存在

という感じ。

また、敵や味方の悪魔にはそれぞれ属性耐性が存在する。

この耐性は本作において非常に重要な部分で、例えば序盤で必ず仲間になるピクシーは電属性に耐性があり、電属性の攻撃を受けてもダメージが軽減されるため、電属性中心の攻撃をしてくる敵に対して強気に出られる。

他方、こちらも(交渉次第では)序盤で仲間になるシキガミは、電を軽減ではなく逆に相手に反射させることができ、電耐性という面ではピクシーを凌駕するが、代わりに火属性に弱く、弱点を突かれるとダメージ量が増加してしまう。

というように、耐性に関しては悪魔ごとに異なる優劣が存在し、この相性を踏まえつつパーティ編成をしていくことが求められる。

ちなみに、主人公は「マガタマ」という専用の装備アイテムを一つだけ装備することができ、これにより自身の耐性を変化させることが可能。

また、マガタマは装備しているとレベルアップ時にスキルを覚えることもできるため、耐性面だけでなく育成面でも重要となる。

プレスターンバトル

本作の目玉

戦闘では敵味方ともにターンごとの行動回数に一定の制限が設けられており、これに沿ってバトルが展開される。

行動回数は画面右上のプレスターンアイコンと呼ばれる固有のシンボルによって管理されている。

基本的に、行動回数は悪魔1体につき1回追加され、主人公側は(自分を含め)最大4体まで戦闘に出すことができるので、1ターンにつき4回の行動が可能。

そのため、特段の事情がない限り悪魔4体編成が前提となる。

ここまで聞くとプレスターンバトルは「単なる縛り要素」でしかないが、ここからが面白いところで、行動回数は敵の弱点を突く、もしくはクリティカル攻撃をすることで回数の消費を減らすことが可能

例えば敵の弱点が火の場合、こちらが火属性ダメージを与えられれば、行動消費1回のところを半分に抑えることができ、実質的に行動可能数を1回増やすことができる。

クリティカルは確率で発生し、決まれば弱点と同様行動回数を1回増やせる。

というようなメリットがあるので、戦略としてこれらを狙っていくことが基本になるが、この点は敵に関しても同じことが言え、逆にこちらが弱点を突かれる・クリティカルを決められるとその分敵の行動も1回余分に増えてしまう。

さらに、こちらの攻撃が回避される、ないし無効化されると行動回数が2回分消費されることになり、挙句にダメージを反射・吸収されてしまうと強制的に相手のターンに移行する。

ただし、これに関しても弱点同様敵も同じリスクを背負う。

以上のように、本作では敵味方ともに共通のルールに則ったバトルが行われるため、「いかにこちらの行動回数を増やし、敵の行動回数を減らせる(潰せる)か」が勝負のポイントとなる。

感想

良かった点

歯ごたえのある戦闘

ゲームの花形である戦闘はノーマルであっても比較的難易度が高く、雑魚戦であってもあまり気の抜けない緊張感があります。

耐性次第では無双できたり逆に無双されたりという具合なので、一昔前の作品ではあるものの、スリリングさという点では昨今のRPGに負けずとも劣らないかと。

自分はペルソナしかやったことがなくメガテンはこれが初でしたが、ペルソナ以上にゴリ押しだけでは突破できないポイントが多く、とりわけボス戦は相手の行動を把握した上で適切な戦略を立てないと嬲り殺しにされることも少なくありませんでした。

特に序盤のマタドールに何度苦汁を舐めさせられたことか・・・。

間違いなくあそこはこのゲームを続けられるかどうかの大きな分水嶺だと思います。

という感じで歯ごたえがあるので、敵の強さにイライラすることも多いですが、その分倒せた時のやってやった感もひとしおでしたね。

独特な設定や世界観

確実に人を選ぶ部分ですが、個人的に設定や世界観は結構好きです。

崩壊した東京、そこに生きる悪魔たち、混沌とした世界ではあるがそれは創世のための準備段階にすぎないなど、末法めいた雰囲気も嫌いじゃないですね。

特異な世界で人修羅というこれまた特異な存在になったにも関わらず、驚くことも思い悩むこともなく、若干サイコ入ってるんじゃないかと思わせる主人公もなかなか攻めてるなぁと思いました。

というか人修羅くん少しは悩め。

悪かった点

孤独で殺伐としたストーリー

ストーリーはとにかく孤独です。

主人公が無口というのもそうですが、人間も悪魔も基本的にこちらを利用することしか考えておらず、打算抜きで関係を構築してくれるキャラが存在しません

「俺達仲間だろ!」みたいなノリは皆無です。

特に数少ない人間―一部を除く3名はゲームが進むにつれて考えを先鋭化させ、主人公を含む自分以外の人間と対立する姿勢を鮮明に出してきます。

一応こちらの選択次第では協力関係を結ぶこともできますが、それぞれが持つ考え方―コトワリが極端過ぎて協力する気が全く起きません。

以下それぞれのコトワリ

・他者との交わりを全否定し、人は誰とも関わらず一人で生きるべき

・強者のみが存在を許され、弱者は生きる価値なしという弱肉強食こそが真理

・人は世界のためだけに存在するべきであり、個々の意志や欲望は全くもって不要

こういった考えを理想だと言って憚らず、エゴを剥き出しにしてくる様は最早恐怖です。

なぜそういう考えに至ったのかという過程はなんとなく描写されるものの、途中から加速度的に極端な方向に向かっていくので、感情移入がままならないのも協力したいと思えない一因かと。

という具合に孤独かつ殺伐とした話がずっと続くので、JRPGらしさはいい意味でも悪い意味でもないです。

それが本作の魅力ではあると思いますが、自分はちょっとしんどかったですね。

ダンジョン探索があまり面白くない

戦闘部分は面白いですが、探索は正直言って微妙でした。

前半はそんなに悪くないものの、後半になるとテレポートや落下、暗闇&ダメージ床のギミックが頻発し、ストレスがジワジワと溜まっていきます。

特に「もうちょっとで抜けられる!」と思った時のテレポート→最初に戻るのコンボで何度「はぁ~~~ッ!?」ってなったことか・・・。

謎解きもあったりしますが割合としてはそこまで多くなく、基本的には上記のような運ゲーギミックがメインなので、とにかく根気が必要なタイプのダンジョン構成と言えます。

UI面での不満

本作は「原作を尊重する」という開発側のスタンスにより、2003年発売の作品をそのまま移植しているため、UI面で不便だと感じる部分はちょくちょくありました

詳しく書き出すと長くなりそうなので、要点をまとめます。

(追記)打ち消し線が引かれている部分はアプデにより改善されました

全体的にレスポンスが遅い

特にステータスの閲覧や悪魔合体、セーブする際などにラグがあります

悪魔合体でのスキル継承がただの〇×ゲーム

どのスキルが継承されるか完全にランダムなので、目当てのスキルが出るまで延々と合成とキャンセルを繰り返すことに

ムービーがほぼスキップ不可

→主人公の死亡シーンと転送以外のムービーは飛ばせません

ゲームオーバーになるとセーブ地点からやり直し

→その場でリトライする機能はなく、場合によっては再戦のために長い距離を移動するハメに

画面上にミニマップが表示されない

→ことあるごとにいちいちマップを開かないといけないのが単純に面倒

昨今の懇切丁寧なゲームに慣れてしまったというのも大いにあるかと思いますが、それを考慮しても不便だと感じる部分は多かったですね。

まぁこの点は移植の難しいところではあります。

おわりに

戦闘はスリリングで面白く、世界観も嫌いじゃないですが、それ以外が難ありと感じるゲームでした。

率直に言って粗は多いです。特にUI面。

そういった部分を「時代が時代だしなぁ」と許容できるか、もしくは「不満だ」と感じるかで本作への評価は間違いなく分かれるでしょう。

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