はじめに
ここでは、「マーダード 魂の呼ぶ声」をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書くのでネタバレ注意です
本作は、2014年スクエアエニックスから発売された推理アドベンチャーゲームで、幽霊となって自分を殺した犯人を捜し出すという一風変わった作品となっています。
ゲーム概要
ストーリー
舞台はアメリカの街セイラム。
近頃巷を騒がせる連続殺人犯ベル・キラーを追っていた主人公で刑事のロナンは、無謀にも一人でベル・キラーを捕まえようとした結果、返り討ちに遭い殺されてしまう。
そのまま死んでしまったロナンだが、捕まえられなかったという無念や未練が原因なのか、自分の意思に反して幽霊となりこの世に留まってしまった。
偶然現場に居合わせた幽霊の少女によれば、自分が留まっている要因(ロナンの場合犯人を捕まえる)を取り除くと成仏できるらしい。
ロナン死後の人生が始まる。
本作の特徴
幽霊という特性を生かした捜査
主人公はストーリー冒頭から殺され霊となっているため、人や物に触れることができず、また(霊能力のある人物を除き)コミュニケーションもとれない。
一見不自由に思えるが幽霊ならではのメリットもあり、
・壁や障害物を素通りできる
・人に憑依して考えていることを読み取ったり、思考を誘導させることができる
・物に残された記憶の一部を読み取れる
・猫に憑依して人では入れない場所に進入できる
といったことが可能。
ちなみに憑依された人間は、霊感がなければ自分が憑依されているとは自覚できない。
↑のように憑依することで対象の心の声を聴ける。
時には猫に憑依して動き回ったりもできる。
ちなみに鳴くコマンドを使う必要は一切ない。
幽霊は主人公だけではない
成仏できずこの世に留まっているのは主人公だけではない。
本作では主人公と同じく未練があって留まっている者や、自分が死んだことに気づいていない者など様々な霊が出てくる。
そういった霊たちの頼みを聞くことで成仏させることが可能(いわゆるサイドクエスト)。
また、霊はいい霊ばかりではなく悪霊も登場する。
悪霊は主人公を見つけ次第襲いかかり魂を吸い取ってくるため、逃げるか撃退するかしなければならない。
メタ的に言えば本作における敵はこの悪霊が担っており、悪霊との対峙はスニーキング要素が強い。
上のように、気づかれないように後ろから近づき特定のコマンドを入力することで「祓う」ことができる。霊が霊を祓うとはこれいかに
感想
良かった点
丁寧なストーリー展開
本作は推理アドベンチャーということで、ストーリーが丁寧に作られています。
得られた事実と事実を繋ぎ合わせて真相に近づいていくというゲームとしての過程と、ストーリー展開の足並みがしっかり揃ってて最後まで飽きさせないような作りになっていたのが好印象でした。
そのため、何の伏線も推理もなしに主人公が唐突に閃いてプレイヤ―が置いてけぼりになってしまうということはなかったです。
終盤明かされる真実もいい意味で裏切られました。
(ネタバレ反転)
犯人は冒頭で主人公に色々説明をしてくれた少女の幽霊。名前はアビゲイル。生前魔女狩りによって処刑されるという凄惨な過去を持ち、その時の恨みを晴らすため犯行に及んでいた(要は逆恨み)。殺しをする場合は適当な男に憑依し実行しており(主人公とは違いアビゲイルの憑依は対象の意識を完全に奪う)、実行犯にされた男も万が一に備え口封じのために殺害している。実は主人公も一部の殺人に加担させられており、その口封じのために殺されてしまったというのが真相。もちろん憑依されている間は意識がないので、アビゲイル本人からこの話を聞くまで主人公に犯行の片棒を担がされたという自覚はなかった。
(ネタバレ終わり)
悪かった点
ボリューム不足
本作はクリアするまで大体5、6時間(のんびりやっても8時間ぐらい)、トロコン込みでも10時間弱とボリュームは少ないです。
やり込み要素もアイテム収集ぐらいしかないので、1周すれば十分遊び尽くせると言っても過言ではありません。
プレイ時間が少ない分中だるみがほぼないという利点はあるものの、サイドクエストなどの寄り道要素はもうちょい用意して欲しかったですね。
また、今現在の目線で言えば悪い点とは言えませんが、発売当時の本作の定価は8000円弱とまさかのフルプライスで、ボリュームに見合っていない強気な価格となっていました。
自分は新品2400円で買ったので値段に不満はないですが(中古だと1200円程度)、発売当初に買ってたら確実に肩透かしを食らってただろうなぁと思います。
マップがない
アドベンチャーかつ探索要素が強いにもかかわらず、本作にはマップがないです。
一応目的地までの表示こそされますがそれ以外は全くで、アイテムが落ちてる場所やサイドクエストなどは自分の足で探さなければなりません。
舞台となる街のスケールは小さいのでどこに何があるかは大体覚えられるものの、壁をすり抜けて移動ができるという性質上今どこにいるのか分からなくなることがあったので、やっぱりマップは必要だったのではと思います。
一部雑なローカライズ
本作のパブリッシャーはスクエニですが、開発はスクエニとアメリカのAirTight Gamesというところの共同開発となっており、AirTightがメインで開発していたのか発売にあたってはローカライズがなされています。
このローカライズがなかなかに適当で、
・洋ゲー特有の×が決定で〇がキャンセルのまま
・見た目の年齢と実際の声にギャップがある
・状況にそぐわない翻訳
など本当にスクエニが開発に関わっていたのか疑問に思う点が見受けられました。
海外産のゲームをローカライズするにあたって上記のような問題点が出るのは分かりますが、日本企業でしかも大手のスクエニが開発に携わっててこの有様なのは批判されてしかるべきかと。
が、主人公ロナンの声優を山寺さんにしたのは評価に値します(上から目線)。
おわりに
粗が目立つ部分は多いですが、1000~2000円代で手頃に遊べるゲームを探しているのであれば割とおすすめできる作品です。
早ければ1日、遅くても2日で終わるので土日にササっとクリアでき、忙しくてあまりゲームを触れないという方にもおすすめです。