はじめに
ここでは、ラストオブアス2をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
また、本作はある重大なネタバレをしなければ概要や感想を書くことがままならないため、最初からネタバレ全開のレビューとなっています。
なので、もしプレイするかどうか迷っている方は、その点を留意した上でご覧ください。
ゲーム概要
ストーリー
前作の終わりに病院から逃走したジョエルとエリーは、ジョエルの弟トミーがリーダーを務めるコミュニティ「ジャクソン」に身を寄せていた。
それから5年。
心身ともに成長したエリーは、コミュニティの一員として感染者の偵察・掃討の任務を担う日々を送っており、ジョエルとは段々疎遠になっていた。
そんなある日、いつものように外への偵察中、仲間のジェシーから「ジョエルとトミーが偵察中に行方不明になった」との知らせを受ける。
ジョエル達を捜索するエリー。
しばらく馬を走らせていると、明かりがついている屋敷を発見。
潜入するとそこには謎の生存者グループがおり、その傍らには気絶したトミーと暴行を受け瀕死の重傷を負ったジョエルの姿が。
エリーは二人を助けようとするもその集団に取り押さえられ、身動きができぬまま目の前でジョエルを殺されてしまう。
その直後、顔を蹴られ意識を失うエリー。
目が覚めると周囲にその集団はおらず、トミーとともに仲間達に無事救助された。
なぜ自分達は殺されなかったのか、そして何故ジョエルは殺されなければならなかったのか疑問に思うエリーだったが、それ以上に突如として最愛の人を殺された怒りの方が強く、復讐を決意。
その夜エリーの家に訪れたトミーの話によると、ジョエルを殺したグループはシアトルから来たのではないかという推測をエリーに話す。
そして「復讐なんて馬鹿なことを考えるのはやめろ」とエリーに注意つつも、翌朝には彼自身も復讐のためジャクソンを発っていた。
トミーの妻マリアから「夫を連れ帰って来て欲しい」と頼まれたこともあり、一足先にシアトルへ向かったトミーを追いかける形でジャクソンを発つエリー。
こうしてシアトルを舞台にした復讐劇が始まろうとしていた。
本作の特徴
主に前作と比較しつつレビューしていきます。
復讐を主軸にしたストーリー
本作は、シアトルを舞台にジョエルを殺されたエリー(とトミーら)が復讐を行うという陰鬱なストーリーとなっている。
なので、生きるために迫りくる感染者や生存者との戦いに明け暮れるという過酷で長い旅路の中で、擬似的な親子愛を形成していく過程を描いた前作とは大きく趣が異なる。
復讐が軸になっているという性質上、バイオレンスさが前作とは別ベクトルで凄まじいため、前作以上に人を選ぶだろう。
前作からの追加要素・改善点
ゲーム性は前作をベースに改善・あるいは進化した部分が多い。
まずはステルス部分の強化。
本作ではしゃがみに加え匍匐前進が可能となり、建造物や車などのちょっとした隙間に隠れることができるようになった。
これにより、敵の目を掻い潜れる手段がシンプルに増えている。
ただし、当然敵もこうした隙間の存在を把握しており、巡回の際はくまなく隙間も確認してくるので過信は禁物。
敵が多く、しゃがんで隠れるだけではやり過ごせないような時に活用したい。
また、これは前作でもそうだったので改善点というわけではないが、エリーはステルスキルをする場合、ジョエルとは違い自前のナイフを使うため、クリッカーに対処しやすくなっているのも地味に嬉しいところ。
追加点としては、新たな敵が登場している部分が挙げられる。
まず新たな感染者としてシャンブラーが追加。
これはクリッカーが変異した姿で、外見はブローターに近い。
そのためかブローターのように胞子のガスを飛ばして攻撃をし、接近戦で掴まれてしまうとクリッカーの例に漏れず即死となる。
その上ステルスキルができず、耐久力も高いので遭遇すると非常に厄介な存在。
クリッカー同様目は見えておらず、スルーするのはそう難しくないのが幸いか。
また、人間サイドでは番犬が追加。
犬らしく臭いでこちらを追跡し、何か異変があればすぐ敵に知らせるのでこちらも厄介。
ステルスキルもできないのが厄介さに拍車をかける。
というように、対感染者・対人間戦で新たな脅威が増えており、前作で慣れていても油断ならない戦闘が待ち受けている。
感想
良かった点
圧倒的なグラフィック
本作をプレイしていれば間違いなく感じるであろう点。
前作は高画質の映像でもって描写のリアルさに強い説得性を持たせていましたが、本作でもそれは健在です。
特にSSDも搭載してないノーマルのps4でも、非常に綺麗な映像が延々と続きます。
これでほとんどロードがないというのもまたすごい。
「流石ノーティドッグ」の一言に尽きます。
もうps4ではこれ以上のグラフィックは出て来ないんじゃないでしょうか。
また、グラフィックだけでなく音質もクオリティが高く、敵をステルスキルした時の呻き声がかなり生々しかったのも印象的でした。
感染者だけでなく人間も「カッ、アッ、ボエッ・・・」みたいな声を出しながら死んでいくので、倒したというより殺したという感覚の方が強かったです。
ジョエルとエリーの過去シーン
本作では度々エリーの回想シーンが入りますが、ここは掛け値なしによかったです。
二人のやりとりが完全に親子のそれでした。
前作でもっと見たかったものをしっかりとやってくれた点は非常に評価できますね。
それだけに回想が終わって本筋に戻ると「ジョエルはもういないんだなぁ」という悲哀さが増すものの、それがエリーの復讐のモチベ維持にも繋がっているという構造になっています。
この点は明確に良かったと思える点ですね個人的に。
悪かった点
ジョエル殺す必要あった?
クリア後、というかプレイ中ずっと思っていたこと。
前作主人公の死で物語が動き出すというのは、ゲームに限らず古今東西の創作で度々用いられる手法ですが、このストーリーであれば別にジョエル殺す必要なかったんじゃないでしょうか。
こう言っちゃうとあれですが、別にジョエルじゃなくてディーナでも話成立していたんじゃないかと。
ディーナは10歳の時初めて人を殺したと言っていましたが、この時殺した相手がアビ―の父親ないし仲間でそこから復讐の連鎖が始まる、とかでも十分物語は作れたと思います。
しかもジョエルに匹敵する、あるいは彼に次ぐ魅力的な新キャラが出て来なかったのもマイナスポイントでした。
新キャラ自体は結構出てきたのに、大体死んじゃったのがもったいない。
個人的にはジェシーが割と好きだったんだけどなぁ。
アビ―視点が長すぎる
割とストレスだった部分。
プレイ時間のうち半分近くアビ―操作なのは予想外でした。
いや長いよ流石に。
まぁ確かに、
「なんで復讐の相手がジョエルだったんだろう」
とか
「終盤までエリー達とニアミスしなかったけどどこで何してたんだろう」
とか疑問はありましたが、そういった事情をアビ―視点でじっくり丹念に追いたいとまでは思ってませんよ・・・。
しかも個人的に一番胸糞だったのがシアトル3日目の劇場での戦い。
二人が激突するのはどう足掻いても避けられないとはいえ、アビ―視点でエリーと殺し合うというのは流石にエッジが効き過ぎです。
本作やってて一番しんどいところでした。
何が楽しくてエリーの首絞めにゃならんのだ・・・。
ここの首絞めボタン連打辛かったって人自分だけじゃないはず。
自分は(境遇こそ理解したものの)アビ―に一切感情移入できなかったタイプの人間なので、尚更アビー視点はきつかったですね。
ジョエルを殺したって時点で見るのも嫌気が差すレベルなのに、操作パートが長いっておいおい・・・。
前作主人公を殺したキャラの視点という尖ったプレイ体験を提供した点は評価できるものの、エリーの復讐という軸をメインにしつつ、アビ―視点は入れるにしてもあくまでアクセント程度に抑えて欲しかったです。
ジョエルとトミーに関してのツッコミどころ
特に印象に残っている部分だけ挙げてきます。
最初に「えっ?」って思ったのが、ジョエル達がアビ―に自ら進んで自己紹介するシーン。
元密輸業者(しかも敵が多い)なためか一際用心深いはずなのに、見ず知らずの人間に明け透けと自分の情報を晒すかなぁと。
例えばアビーの方から「私はアビ―。あなたは?」と聞かれて渋々答えたり、
もしくはジョエルではなくトミーが進んで、
トミー「さっきは助かった。俺はトミー。で、こっちは・・・」
ジョエル「おいトミーやめろ」
トミー「助けてくれたんだからこれぐらいいいだろ」
みたいな流れだったらやむを得ないよねって感じだったんですが。
そこまで気にしすぎるほどの点ではないものの、この迂闊な行動が後の悲劇を生むので悪い意味で印象に残ってますね。
まぁエリーとの交流やジャクソンでの暮らしを通して、多少なりとも他人に対して柔らかくなれたとも取れるっちゃ取れますが。それだとちょっと嬉しい。
また、終盤のトミーの辛辣な態度もなんだかなーって感じでした。
前作のみならず今作でも、口数の少ないジョエルに代わって要所要所でエリーをフォローする親戚のいいおじさん的な立ち位置だったのに、終盤それをかなぐり捨てるかのように復讐心が薄らいだエリーにきつく当たってる様はちょっと性格変わりすぎてるんじゃ・・・。
復讐心に囚われている+身体が不自由になって満足に行動できなくなったからとは言え、
「ジャクソンに帰ってきた時必ず復讐するって誓ったよな?なら俺の代わりにお前が復讐しろ!」
と直接焚きつけるようなことは言わないと思うんだけどなぁ。
ジョエルが聞いたらぶん殴りそう。
エピローグはシアトルから帰ってきてからいきなり半年以上の時間経過があり、その間の描写がごっそり抜け落ちてるだけに、この変貌は違和感ありましたね。
まぁシアトルの一件以降、マリアとは距離を置いた(別居or離婚)らしいので精神的に荒んでたのは間違いないでしょうが。
犬が尋常じゃなくウザい
対人間戦で最もクソ脅威の存在でした。
・索敵範囲が人間より広い
・臭いで追跡してくる
・ステルスキル不可
・素早い
・そのくせ攻撃が地味に痛い
と人間より遥かに強い上にうざかったです。
しかも飼い主が先に死ぬとその周りを心配そうにぐるぐる回ったり、死ぬ時の断末魔が妙な罪悪感を煽ってきたりと、物理的にも精神的にも相手してて一つも面白くありませんでした。
じゃあスルーできるかと言われると、下手に人間より強くて厄介なので殺すのが最適解というのがまたなんとも・・・。
もっと、というより一切可愛げのない感じにして欲しかったですね。
おわりに
一つのアクションゲームとして見ると、間違いなく面白いと言える作品です。
できることが増えて戦略性が上がっている点や、ボリュームもそこそこある点(自分のクリア時間はおよそ40時間でした)、また、オブジェクト一つとっても気合入れて製作しているのは目に見えて分かりますしね。
が、これがラスアスの続編だという事実を踏まえると、手放しに褒めることはできません。
特に「ジョエルを死なせてまでやりたかった物語がこれか?」という思いがどうしても頭をもたげてしまいます。
ぶっちゃけプロットがよく練られてないと言わざるを得ないですね。
アビ―視点が長いせいで、復讐という軸もややブレてしまった感がありますし。
とまぁ、これ以上書くと感想ではなくただの愚痴になってしまうのでここまでにしますが、前作を超えられないにしてもそれに匹敵する作品を期待していただけに、ただひたすら残念です。