はじめに
ここでは、『ドキドキ文芸部プラス!』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※ストーリーのネタバレはありませんが、クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は、2017年にフリーゲームとして配信された『ドキドキ文芸部!』にサイドストーリーなどの新要素を追加した完全版にあたる作品です。
「パッと見ギャルゲーだけど実は・・・」という内容のストーリーは反響を呼び、各国で高い評価を受けました。
ちなみに、いかにも日本のギャルゲー然としている本作ですが、開発したのは「チーム・サルバト」というアメリカのゲームスタジオです。
和ゲーっぽいのに洋ゲーというギャップもちょっと面白いですね。
ということで以下本題。
ゲーム概要
ストーリー
舞台は日本のとある高校。
高校2年生の主人公は帰宅部で暇を持て余していたが、ある日幼馴染のサヨリに誘われ文芸部を訪ねる。
当初は見学だけで終わるつもりだったものの、文芸部員達に是非とも入部してほしいと頼まれ、下心もあって入部することに。
だが、部員達はそれぞれ闇を抱えており・・・。
本作の特徴
パッと見ギャルゲーなサイコロジカルホラー
本作は、ガワこそギャルゲーだが、中身はなかなか攻めたサイコロジカルホラーとなっている。
サイコロジカルホラー
幽霊や怪物などは登場せず、人間の心理的・精神的な恐怖感を煽ってくるタイプのホラー
序盤はまだギャルゲーしているものの、中盤以降は恐怖描写が徐々に増えていく。
ギャルゲーを期待してプレイすると間違いなく痛い目を見るので注意。
登場人物
主人公
本作唯一の男子。元は帰宅部だったが、幼馴染のサヨリの誘いで文芸部に入部する。
サヨリ
主人公の幼馴染。文芸部の副部長。少し抜けている所があるが明るく元気で気配り上手。
ナツキ
文芸部最年少で気が強い女子部員。自分の気持ちを素直に表せられないツンデレ。
ユリ
ロングヘアで読書好きといういかにもな文学少女。ナツキとは嗜好や性格の違いから衝突することも。
モニカ
文芸部を創設した部長。才色兼備の優等生。時折主人公に意味深な言葉を投げかける。
詩の作成
ストーリーでは、「互いに詩を作ってそれを見せ合う」という課題が部長であるモニカから提示される。
これは実際に操作として反映され、ゲーム中では要所要所で詩の作成パートが挿入される。
ただし、詩はプレイヤーが一から考えて作るわけではなく、表示された選択肢の中から一つずつ選んでいくスタイルとなっている。
加えて、選択肢はいずれも単語のみであり、選んだ選択肢を基に詩を作るわけでもない。
単語にはそれぞれ部員の好みが設定されており、どのような単語を選んだかでストーリーが一部分岐するという要は一種の好感度システムのようなもの。
そのため、詩の作成とは言っても、一つの詩として意味を考えながら選ぶ必要はない。
なお、単語の好みの傾向については以下の通り。
サヨリ
明るい印象を受けるもの(ex.愛、花火、太陽)
ナツキ
かわいらしいものや表現(ex.うさぎ、リボン、ふわふわ)
ユリ
ネガティブな印象を受けるもの(ex.死、檻、憂鬱)
感想
良かった点
意識の外から襲われる恐怖
ギャルゲーの皮を被ったホラーというのは事前情報として知っていたとは言え、実際にやってみるとこれがかなり怖いです。
キャラがそれぞれに抱える闇もそうですが、特に演出の怖さ/仕掛けるタイミングは一級品。
普通のホラーなら、なんとなく雰囲気で「ここで怖いの来るな」と身構えたりできますが、本作ではギャルゲーのガワを守りつつ、サブリミナルな感じのホラー演出が急に襲ってくるので、大抵の場合心の準備ができません。
演出怖い+タイミングが読めないのダブルパンチです。
しかも恐怖演出は一部ランダムなのがかなりの曲者。
周回プレイで「ここであれが来る」と分かってて身構えていても、前見た演出とは違うものがぶっ込まれたり、前の周では特に何もなかったところに新しい演出が追加されていたりといったケースが結構あり、周回中も恐怖の新鮮さが持続します。
なのでダイレクトに恐怖心を刺激されることが多く、精神的にちょっと参りました。
最終的にはスタート画面のBGMにすらビビるようになりましたからね。
下手に精神が弱っている時にプレイしたら発狂しそうです。
ちなみに、自分は(深刻なネタバレ注意:ゲームで決めたプレイヤー名ではなく、スイッチのアカウント名で呼ばれた)シーンで、ビビり過ぎてちょっと飛び上がりました。
その仕掛けは心臓に悪いて・・・。
プレイ時間に対しての密度の濃さ
客観的に見て、本作はそんなにボリュームは多くありません。
読むスピードにもよりますが、本編真エンドまでクリア&サイドストーリークリアまでいっても、大体6時間7時間程度で終わります。
と、書くと何やら物足りない印象を受けるかと思いますが、これが不思議なもので実際プレイしてみると、ゲームとしての密度が濃くてそんなに気にならないんですよね。
テキスト量の多さもさることながら、恐怖演出の多さやそれが一部ランダムという怖さ、随所に散りばめられている小ネタの多さなど、ゲームとしてのギミックが至る所に設置されているため、自分的には十数時間ぐらいはやった感覚がありました。
そういう意味では、肉体的にではなく精神的な意味で体力を持ってかれるゲームですね。
悪かった点
コンプリートがなかなかシビア
ストーリーは攻略サイトがないと詰まってしまう部分があるかもしれませんが、クリア自体は難しくありません。
が、全てのCGのコンプリートを目指す場合は結構ハードです。
というのも、一部CGの取得条件が運要素ありのランダムなんですよね。
攻略方法が存在しない完全なる試行回数ゲーです。
特にある1枚にいたっては1/64の確率でしか出現せず、根気強くトライアンドエラーを繰り返さないといけません。
また、ランダム要素がないものでも、条件上複数周回しないと入手できないCGもちょいちょいあります。
なのでコンプリートないしトロコンを目指すのであれば、ある程度の覚悟をしておいた方がいいかと。ちなみに自分は諦めました
CS版だと一部隠し要素を見られない
ネタバレにガッツリ関わるので説明が難しいんですが、本作はスイッチやps4などのコンシューマー版では見ることができない隠し要素がチラホラあります。
自分はこのことをクリアしてから知りました。
別に見れなくてもストーリーの理解には何の問題もありませんが、『ドキドキ文芸部』という作品を隅から隅まで遊び尽くしたい場合は少し注意が必要です。
そういうのが気になってしまう場合は、steamなどのPC版をおすすめします。
おわりに
以上、『ドキドキ文芸部プラス!』のクリア後レビューでした。
タイトル通り、サイコロジカルホラーという分類に嘘偽りなしのゲームです。
洋物ホラーともジャパニーズホラーとも違う恐怖がありました。
随所に見られる作り込みも、もとはフリーゲームならではといった感じで凄まじく、様々な制約のある商業作品とは色々な意味で一味違うのもよかったですね。
一言で言ってしまえば、ものすごく尖ったゲームだったなと。