はじめに
ここでは、『テイルズオブヴェスペリア REMASTER』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は、2008~9年に発売された『テイルズオブヴェスペリア』を現行ハード向けにリマスターした作品で、そこに各種DLCを同梱した事実上の完全版となっています。
ヴェスペリアはテイルズシリーズの中でも人気の高い作品であり、今回のこのリマスターだけで累計150万本以上を売り上げている化け物タイトルです。
自分は10年くらい前にps3版をクリアしたんですが、今年9月に出た『テイルズオブアライズ』発売前に高まったテイルズ熱の影響で、久々にプレイしてみました。
ちなみにハードはswitch版です。
当初はアライズ発売までにクリアするつもりでいましたが、始めたのがアライズ発売の6日前だったこともあり、案の定終わらず、
ヴェスペリア開始
↓
一時中断してアライズ開始&クリア
↓
ヴェスペリア再開&クリア
と大分間が空いてしまいました。
やっぱテイルズはボリュームありますね。
と、前置きが長くなりましたが以下本題。
ゲーム概要
ストーリー
物語の舞台は、テルカ・リュミレースという「エアル(主要なエネルギー源)」に満ちた世界。
この世界では、「魔導器」と呼ばれるエアルを利用して動く機械によって、人々の暮らしが支えられていた。
魔導器の多くは「帝国」というこの世界唯一の統一国家が管理しており、帝国の専横とも言える治世の下、人々は平和な日々を送っていた。
帝国の首都ザーフィアスの下町に住む青年であるユーリもまた、自由気ままに暮らしていたが、ある日下町の水道を管理する水道魔導器が暴走している場面に遭遇する。
暴走の原因が魔核(エンジンのようなもの)を抜かれたことによるものと気づいたユーリは、単身盗み出した犯人を追うが、その道中帝国騎士団の介入に遭い、城の地下牢に投獄されてしまう。
が、謎の人物の助けによって脱獄に成功。出口を探して城内の探索を開始する。
そしてその最中、騎士に追われている少女エステリーゼと遭遇。
成り行きから彼女を助けると、エステリーゼは「今現在国を離れているフレン(ユーリの親友)に伝えたいことがある。もし外に出るのなら、自分も一緒に連れて行って欲しい」とユーリに懇願。
最初は断るユーリだったが、エステリーゼの覚悟を見るとこれを了承。二人は城の外へと脱出する。
こうしてユーリは魔核を盗んだ犯人を追うため、エステリーゼはフレンに会うため、二人揃って旅を開始するのであった。
ゲーム概要
本作の特徴
正義を貫き通すRPG
本作のジャンルは「正義を貫き通す」RPG。
ストーリーでは、敵味方問わずそのキャラなりの正義と正義がぶつかる。
とりわけユーリとフレンの「法と正義」に対する考え方の違いや、それ故にぶつかっていく様は見所の一つ。
オーソドックスな戦闘システム
ヴェスペリアは、据え置き作品としては最後のオーソドックスなLMBSを採用。
これまでのテイルズのバトルシステムを継承しつつ、バーストアーツやフェイタルストライクといった新たな技が追加されている。
バーストアーツは、オーバーリミッツ中に奥義から連携して発動する特殊技。
発動するとTPの消費なしでキャラ固有の技で敵を攻撃する。
フェイタルストライクは一撃必殺技。
敵に攻撃を加えていくと、赤・青・緑いずれかの魔法陣エフェクトが発生。
このエフェクトが出ている最中に対応のボタンを押すとフェイタルストライクが発動。
雑魚敵に決めるとHPにかかわらず一撃で撃破、ボスに当てると大ダメージを与えられる。
このフェイタルストライクをいかに決められるかが雑魚戦での快適度を左右する。
武能(スキル)
本作の独自要素。
武器には武能という特定の効果(攻撃力アップやパラメータアップなど)を得られる能力が存在する。
このスキルは、対象の武器を装備しているだけでも効果が発動するが、使い続けているうちに習得することが可能で、一度習得すると武器を外しても効果が永続的に持続するようになる。
ただし、覚えたスキルは無条件に効果が発動するわけではなく、SPと呼ばれるポイントを消費しないと発動しない。
SPには当然限りがあり、習得スキル全てを発動させることは難しいため、スキルの取捨選択が必要。
感想
良かった点
敵も味方も魅力的
本作は、敵も味方も印象に残るキャラが多いです。
今回は10年ぶりとは言え2度目のプレイだったので、ユーリ達仲間キャラにではなく脇を固める敵キャラに注目しながらやってたんですが、このゲームやっぱり敵がいい味出してると思います。
イカれた戦闘マシーンのザギ
腐れ外道のラゴウとキュモール
明確に善悪で測ることができない二面性を併せ持つイエガー
志が折れて最悪な方向に進んでしまったアレクセイ
といったクセのあるキャラが多く、良くも悪くも物語を彩ってくれます。
この辺の敵は10年経っても顔と名前を憶えていたぐらい印象深いですね。
あと、仲間キャラに関しては、初見プレイ当時はユーリやフレンに感情移入しながらやってたんですが、今回はおっさんことレイヴンやカロル先生に自然と思い入れが強くなってました。
レイヴンとは自分の年齢が近くなったこともあってかその悲哀がより分かるようになり、カロルに関しては逆に自分と年が離れてしまって半ば親の目線で見てしまったなって感じです。
オーソドックスな戦闘としては最後のテイルズ
最近のテイルズは、TPがなかったり専用ゲージの範囲内であれば術技奥義の連携に制限がないなど自由度が増していますが、ヴェスペリアは従来のシステムの多くを継承した最後の据え置きマザーシップです。
なので、今改めてプレイするとどうしても古臭さや不便さを感じてしまうものの、昔懐かしのテイルズを楽しめました。
そしてその中にあってフェイタルストライクの爽快感は随一です。
いかに素早くこれを決めるかという戦略性がヴェスペリア独自の魅力だと思います。
上手く従来のシステムと調和している秀逸な要素と言っていいでしょう。
まぁ言うて自分はほぼ青狙いでしたが・・・。
円閃牙→峻円華斬→円閃牙ばっかやってました。
主題歌が素晴らしい
本作のテーマ曲は、BONNIE PINKの「鐘を鳴らして」。
この曲見事にヴェスペリアに合っていてとてもいいですよね。
特に2番のサビが終わった後に続く
世界は白か黒 平和か争い
heads or tails you and I
light and dark ups and downs
その真ん中で僕たちはいつか 出会い 手をつなぐだろうか
という部分が滅茶苦茶好きです。
相対する二つの概念を二項対立として羅列した後、そんな相容れないもので溢れる世界の「真ん中(二項対立を超えた先)」で僕たちは出会って手をつなげるのだろうか(分かり合えるのだろうか)、という願望とも諦めとも取れる結びにすることで、聴き手に解釈を委ねているところに本作のテーマとの強いシンクロを感じます。
※あくまで個人の解釈です
あと、2番サビ手前の
君が君らしくあること それはまた孤独とも言う
ってところもいい。
ここだけ切り取るとネガティブな感じに聞こえますが、君が自分らしさを貫く(他人とは違う道を行く)中で辛いこともあるだろうけど、だからこそ「鐘を鳴らして君を捜すよ(君のことを思っているよ)」というサビ部分に掛かっているのが、決して暗いことばかりではないと前向きな気持ちになれます。
※これも個人の(以下略
いつ聴いても色褪せない名曲です。
歴代シリーズのOPだと、映像込みならエクシリア2の「song 4 u」がお気に入りですが、曲単体としてはこの「鐘を鳴らして」がぶっちぎりで一番好きですね。
悪かった点
序盤が苦行
序盤はできることの幅が少なく、はっきり言って苦行です。
・使える術技やスキルが少ない
・装備やアイテムは貧弱
・フェイタルストライクが使えない
・オーバーリミッツはLv1のみ
と、結構辛い状況が9~10時間ぐらい続きます。
特にフェイタルストライクが使えないのはただただしんどかったです。
火力を思うように伸ばせない状況の中で、チマチマ殴り倒さないといけませんしね。
戦闘の爽快感の多くがフェイタルストライクに集約されているだけに余計にそう感じてしまいました。
そんな状況下で、みんな大好きザギとみんなのトラウマガットゥーゾのようなボス、ユーリ単独で強制的に複数の雑魚とやり合わなればならないので、序盤は苦行であると同時に難関でしたね。
まぁある意味歯ごたえがあるとも言えるんですが。
ヴェスペリアは良くも悪くも戦闘システムがシンプルな分、制限の多い序盤は誤魔化しが効かずプレイヤースキルの差が結構出るなと思いました。
時限サブイベが多すぎる
ヴェスペリアをプレイした方なら誰しもが思うであろう点。
このゲーム受注可能な期間が決まっているサブイベの数が本当に多いです。
船やバウルなど移動が快適にならないうちから、前の前に寄った町でイベントが発生しているとかザラにあります。
しかも期間も大して設けられていない。
攻略サイトなしでのコンプリートは冗談抜きで無理なんじゃないかと思わせるレベルでした。
あと、地味に思ったのが「それは本編の方に入れてくれよ」っていうサブイベも少なくなかった点。
特に
・ユーリの最初の目的であった「魔核泥棒を見つけて一発ぶん殴る」話
・リタとジュディスの驚きの関係性が分かる話
・デュークとの対話
などはなんとか本編に組み込んで欲しかったところ。
ブレてしまったストーリー
ヴェスペリアの不満点として度々語られる部分。
10年前の初見プレイ時にも思ったんですが、やっぱりアレクセイ討伐以降の展開は、つまらなくはないもののテーマがブレてしまっていて残念でした。
「いかなる場合であっても法を遵守することが正しいのか」
「法で裁けない悪人を個人の裁量のみで裁いていいのか」
という作品の根幹を成すユーリとフレンのぶつかり合いが、情勢がゴタゴタしていくとともに隅に追いやられてしまった感は否めません。
フレン「いくら法が万全ではないからといって、個人の判断で人が人を裁いていいはずがない!それはもはや罪人の行いだ!」
ユーリ「ならお前は助かるはずの命にいつか法を正すから今は我慢して死ねって言うのか!」
というマンタイクでの二人の激論が、作品テーマとしてはピークだったかなと思います。
しかも結局、ユーリの考えが仲間達からの理解を得られる一方、フレンの考えは周りに理解者がいない(そういう描写が見受けられない)みたいな対比になっているのもなんだかなぁって感じ。
考えとしてはどちらも間違っていないのだから、どちらの側にも寄ってほしくなかったなと。
おわりに
以上、『テイルズオブヴェスペリア REMASTER』のクリア後レビューでした。
不満点はあれど、久々にプレイしても面白かったですね。
テイルズ作品の中でも人気があるのが分かります。
というかリマスターだけで売り上げ150万本ってほんま化け物やなって・・・。
あとこのゲーム、リタのタイダル祭りやらラピードの疾風犬無敵持続など、強くなればなるほど戦闘が色んな意味でアホらしくなるので、また数年ぐらい経ったら2周目やりたいですね。