はじめに
ここでは、『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
本作は、作品名からも分かる通り癸生川凌介シリーズの第2弾です。
時系列は前作から半年後。
「海楼館」という海の上に建築された絶海の孤島ならぬ絶海の屋敷を舞台に繰り広げられる連続殺人の謎を追っていくストーリーとなっています。
舞台の性質上、ある種のクローズドサークル要素もあり、なかなか緊迫感のある雰囲気も特徴の一つ。
ということでまずは概要から。
ゲーム概要
ストーリー
2003年初冬。
いつものようにゲームに使えるネタを求め、癸生川探偵事務所へやって来たシナリオライターの王生。
だが癸生川は自室で熟睡しており、彼の代わりに応対してくれた助手の伊綱と雑談を交わしていた。
そうしていると、音成刑事が事務所を訪ねてくる。
音成は、多摩ヶ原斎樹という人物から届いた招待状を癸生川に譲るために今日こうして来たという。
多摩ヶ原は大手建築会社の前会長であり、つい先日自身が建てた「海楼館」という屋敷の落成記念イベントを催すため、関係者に招待状を配ったとのこと。
その招待状が音成が所属する警察署にも届いたのだが、署内には誰も行ける人間がおらず、代わりに癸生川達にイベントに行って来てほしいというのだ。
これを了承した伊綱は、寝ている癸生川には目もくれず、王生を伴って海楼館へと向かう。
海楼館に招待された客は全部で7人。(伊綱の同伴者である王生を含めると8人)
しかし、全員が揃っても多摩ヶ原斎樹の姿が見えない。
不審に思い伊綱ら数人が多摩ヶ原の私室に入ると、そこにはすでに事切れた多摩ヶ原の遺体が横たわっており・・・。
外部から切り離された絶海の屋敷を舞台に、王生と伊綱は事件の謎を追い始めるのであった。
本作の特徴
オーソドックスな推理ADV
本作、というより癸生川シリーズは、推理アドベンチャーとしては極めてオーソドックスなゲームとなっている。
・調べる
・話す
・見回す
などのコマンドを操作し、事件の謎を紐解いていく。
また、今作から「考える」というコマンドが追加。
使える場面は限られるが、使用すると現時点での捜査状況を確認できたり、収集した情報を整理して推理したり、場合によってはヒントを得られることもある。
舞台は海上の屋敷
今作の舞台は陸から遠く離れた海上の屋敷。
犯人の手により外部との連絡手段や脱出経路は全て遮断されており、そのような閉鎖空間で起こる連続殺人の謎に挑んでいくというクローズドサークル感がやや強めのテイストになっている。
次の標的は誰か、犯人の目的は何なのかといったことが判然とせずストーリーが進んでいくため、緊迫感はなかなか。
感想
良かった点
推理する場面が増えた
シリーズ第二弾ということもあり、演出面の強化や推理の整合性など前作で気になった部分は大分改善されていました。
特に良かったのは、プレイヤー側に推理を委ねられる部分が格段に多くなった点。
前作では、プレイヤーが調査しても肝心の推理部分はほとんど自動で進行していくスタイルでしたが、今作では要所要所で選択肢が発生し、推理して正解を考えなければならない場面が増えています。
しかもこれが単純に選択肢を選ぶのばかりではなく、中には提示された語句の中から適切なものを複数選んで答えを作るものもあり、想像以上に頭を使いました。
ヒントのような救済要素は(おそらく)ありません。
なので、結果として難易度は上がっているんですが、ゲームとしては間違いなく進化しててよかったですね。
やっぱり推理ADVは、漫然と真相を聞くよりこうやって実際にプレイヤーが推理する余地があってこそだと思います。
ボリューム微増
これも前作との比較になりますが、今作では上述の通りプレイヤーが考えて答える場面が増えたため、ボリュームはやや増えました。
前作は普通にやっても1時間半でしたが、今作は2時間程度かかるかと思います。
個人的には2時間ぐらいのボリュームが欲しいと思ってたので割と満足です。
ネタバレとか見てないので分かりませんが、次回作以降もこれぐらいあったらいいなという感じですかね。
また1時間半とかなら、悪かった点で取り上げるかもしれませんが・・・。
悪かった点
終盤のどんでん返し
終盤の解決パートは、
伊綱が推理を披露しつつ、時折伊綱から投げかけられる謎に王生が答える形で進んでいき、最後の最後に出てきた癸生川が、伊綱の推理の穴を突きながら本当の真実を導き出す
という前作と大体似た流れになりますが、正直今作は前作より流れが急だと感じました。
というのも、今回は癸生川が登場するのが物語の本当に最終盤なんですよね。
事件が一応の解決を見て一晩たった後、次の日船で癸生川が海楼館にやって来てようやく事件の中身を知るってほどに遅いです。
で、そこから癸生川が伊綱達から聞いた情報を基に推理し直す流れになるんですが、こっちが頑張って調査したことを見聞きしただけで、「あれも違うこれも違う」「真実はこうだ」と次から次にどんでん返しをしてくるので、正直余韻も何もあったもんじゃないって感じでした。
解決パートで考えて選んだ選択肢も結局間違いだったんかいって。
まぁ伏線自体はちゃんとあるので、納得できないことはないんですが。
癸生川が美味しいところを持って行くのは、おそらくこのシリーズのお約束になると思われるのでそこはもう諦めますが、せめて一緒にとは言わないまでも癸生川も少しは調査しててほしいですね。
ここまで安楽椅子探偵ムーブされると、あっちこっち調べ回った側としてはなんかモヤモヤするので・・・。
おわりに
以上、『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」』のクリア後レビューでした。
前作からしっかりと進化した部分があり、推理ものとして面白くなった続編です。
終盤の癸生川の推理で少し冷や水を浴びせられた感がありますが、それ以外は概ね満足だったかなと。
次回作以降もプレイしようと思ってるので、クリアしたらまたこうやって記事にしたいと思います。
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