はじめに
ここでは、『夕鬼零』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は2019年にトライコアが発表したホラーゲームで、1990年代中盤の日本を舞台に、「夕鬼」という怪奇現象に見舞われた小学生二人の姿を描いたサウンドノベルとなっています。
ちなみに、タイトルはゆうきではなく「ゆうおに」と呼びます(零はゼロ)。
次回作である『夕鬼』のレビューは↓
ゲーム概要
ストーリー
1990年代中盤。
転勤族の母親と二人暮らしのシュウジは、ガキ大将のゴトウや学級委員長で優等生のナミとどことなく壁を作りながらも上手く付き合う生活を送っていた。
そんなある日、怪談好きのゴトウが「夕鬼」という遊びについての話を二人にする。
夕鬼は一言で言うと宝探しをする遊びで、ツンという幽霊を鬼とし、ツンに捕まる前に宝を見つけられたら勝ち、見つける前に捕まったらツンが生み出した「夕方(異世界)」に閉じ込められてしまうという。
単なる作り話だと話半分に聞いていたシュウジとナミだったが、ゴトウがツンに遭遇したことがきっかけで事態は急変していき・・・。
本作の特徴
サウンドノベル×VR
本作はホラーテイストなサウンドノベル。
選択肢が出てくることもなく、ただ純粋に物語を読み進めていくという今時珍しい古風なスタイル。
が、独自要素としてそこにVRというエッセンスを加えており、これによりただ文章を追っていくだけでなく、特殊な演出を一人称視点で見ることが可能。
適度に想像力を掻き立てられつつもVRで恐怖演出が表現されていて意外と怖い。
ただし、switchのVRモードには対応していないため、switch版ではコントローラーのジャイロ操作によって擬似的にVR環境を再現している。
そのためかなり独特なプレイ体験を得られるだろう。
感想
良かった点
演出強化のサウンドノベル
本作は通常のサウンドノベルと同様の作りではありますが、プレイヤーが一人称視点でノベルを読むという体になっていることにより、ユニークなプレイ体験を味わうことが可能になっています。
特に文章を読みながら文字上でのツンや怪物の描写に恐怖を感じているところに、まさにそういった恐怖の存在が視覚的に具現化するため、平面上だけでなく三次元においても怖く、二重の恐怖感を味わえました。
サウンドノベルの新たな可能性を垣間見た気がします。
一概にホラーとは言い切れないストーリー
大別すればホラーに分類されるであろう本作ですが、ストーリー自体はホラー一辺倒というわけでなく、どちらかと言えばヒューマンドラマという側面が強いです。
少なくともホラー全開というわけではありません。
主要キャラはほぼ小学5年生であるものの、5年生ともなると自分が置かれた状況や、大人達が都合よく口にする「オトナのジジョウ」などが分かってくるため、そういった人間関係や社会での理不尽、自分の在り方に悩み苦しむ姿が描かれており、読み応えはなかなか。
メインの小学生二人は年の割には聡明な方で、「君達ほんとに小学生?」と思う部分は多少ありますが、大体は誰しも子供の頃に経験していることなので、比較的感情移入はしやすかったです。
個人的には、「未熟故に相手の悩みや心情を甘い理解で決めつけ、自分より程度が低いと優越感に浸る」という部分にリアリティーを感じましたね。
思春期の走りとでも言いましょうか、相手のことを全部分かった気になって得意げになる(けど的外れ)のはみんな通る道だと思います。ませてるようでまだまだ子供なあの感じ。
それだけに微笑ましくもあり、過去に経験した羞恥をいじくられる感じもあったりで、単純なホラーとは一線を画す物語で面白かったです。
悪かった点
読みづらい
本作は元々steamでVR専用のゲームとして配信された作品ということもあり、全体的に操作性には難ありです。
VRはヘッドセットを装着してそれを動かしながら視点を操作するかと思いますが、スイッチ版ではVRに対応していないので、ヘッドセットでの操作の代わりにコントローラーのジャイロ機能を使って操作することになります。
が、このジャイロ操作が無駄に感度が良く、ちょっとでも動かすと視点がぐわんと動き、ちょうどいい定位置を見つけてコントローラーの傾きを維持しないと満足に読めません。
色んな意味で擬似VR体験です。
一応アップデートで右スティックの操作だけでも読めるようになっているらしいですが、自分の環境だと何故かどうやってもジャイロ操作しかできず、大分しんどかったですね。
ちゃんとアップデートしてコントローラー変えたりもしたのになぁ。
あと、文章の向きがスターウォーズ冒頭のテロップのように斜めになっており、その点でもちょっと読みづらかったです。普通に真正面から読む設定が欲しかった。
ボリュームが控えめ
本作のクリア時間は3時間程度と短く、ボリュームは控えめです。
読むスピードが速い人はおそらく2時間かかるかかからないぐらいで読み終わると思います。
良く言えば手軽にクリア可能、悪く言えば物足りないといった感じで、ここをどう捉えるかで評価は分かれそうです。
おわりに
以上、『夕鬼零』のクリア後レビューでした。
VRとサウンドノベルを組み合わせた異色作です。
実は前々から気になっていたゲームではあったんですが、「VRゲーならps4でやりたい」と思って移植を待った結果、いつまで経っても来なかったので泣く泣くプレイしたという次第です。
これでもしpsで出たらちょっと泣くかも。
また、本作の反響が大きかったのか既に続編発売が決定しており、続編の方はノベルゲーではなく一人称視点のサバイバルホラーになるとのこと。
そっちの方もプレイする予定なので、いつになるかはわかりませんがクリアしたらレビューしたいと思います。
(追記)『夕鬼』の方もクリアしてレビュー記事を書いたので、上のリンクからご覧ください。
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