はじめに
ここでは、『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4「白鷺に紅の羽」』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
本作は、癸生川シリーズ4作目にあたる作品で、シリーズでは初の過去編です。
主人公癸生川の助手である白鷺洲伊綱の過去が描かれます。
そのため、シリーズ作品を多少触れていることが前提の内容であり、できればこれ以前の作品にちょっとでも触れておくこと推奨です。
ということで、早速本題に移ります。
ゲーム概要
ストーリー
前作の事件から数カ月後。
雑誌記者の矢口は、仕事のためとある県へ向かうことになったが、その県には伊綱の故郷があるということで、観光がてら伊綱とともに彼女の故郷―百白村を訪ねる。
百白村は鮮やかな紅葉の山々に囲まれた村であり、二人が村を目指して歩いていると、その道中とある女性と出会う。
女性の名は藤沢珠恵。
聞くと珠恵と伊綱は旧知の仲だという。
その再会をきっかけに、物語の舞台は過去の百白村へと移っていく。
本作の特徴
コマンド式ADV
癸生川シリーズは、どれもオーソドックスなコマンド式アドベンチャーの形式となっている。
・話す
・調べる
・考える
といったコマンドを選択しながら事件に関する情報を集め、事件解決を目指していく。
伊綱の過去を描くストーリー
本作は、シリーズでも初の試みとなる過去を描いた作品。
これまでの作品でも断片的に語られることのあった癸生川の探偵助手である白鷺洲伊綱の過去、そして過去の百白村で起こった事件について語られる。
そうした中で、
・伊綱はどのような人生を歩んできたのか
・なぜ彼女は探偵の助手という仕事をするに至ったのか
・そしていかにして伊綱は癸生川と出会ったのか
といったことにも触れられていく。
感想
良かった点
高クオリティなストーリー
一番よかった点。
上の方でも繰り返し書いてますが、今作は主要キャラの一人である伊綱にスポットを当てた過去の物語が展開されます。
この過去というのが想像以上にヘビーで、伊綱の壮絶な前半生が判明したり、伊綱の実家の遺産を巡って醜い相続争いが怒ったり、その中にミステリーもあったりと、中身の濃いドラマが描かれていて非常に面白かったです。
特にミステリーとしての質は、シリーズの中では間違いなくトップクラス。
伏線そのものは割と分かりやすいんですが、回収のタイミングと手際がとにかく鮮やかで、「あーそうくるかぁ」と舌を巻くことが多く、終盤は夢中になって読み進めていました。
いい意味でゲームを遊んでいる感覚はなかったですね。
また、設定面はかなり攻めます。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、少なくとも今の時代では没にせざるを得ないだろうなというような設定が結構多いです。
予想はできるけど、まさか本当にぶっ込んでくるのかとちょっと面食らう感じ。
いやまぁ現代でもできなくはないと思いますが、そうすると間違いなくレーティングが上がるだろうなと。
と、なんか話が脱線しましたが、物語としては文句なしに楽しめた一作でした。
良質なBGM
今作はBGMもいい味出してます。
内容が内容なだけに全体的に哀愁や郷愁を駆り立てるような曲が多いんですが、ストーリーと見事にマッチしていて印象に残りました。
特にOPは、「ガラケーのゲームでよくここまで凝ったな」という演出とともにノスタルジックなBGMがかかるんですが、これ聴きたさにOPが入る直前でセーブしていつでも聴けるようにしてます。
正直サントラが欲しいですね。
元はガラケーのアプリなので、どっか探したら着メロとかないんでしょうか。
悪かった点
微妙に薄い推理要素
ミステリーとしてはかなり良質な今作ですが、その代償(?)にプレイヤーが推理して答えるような推理要素は大分減っています。
なので推理ゲームとしてプレイすると、ちょっとばかし「あれ?」ってなるかもしれません。
ただ今作は、どちらかと言えばADVというよりノベルゲーとしての側面が強いので、推理部分が減ったのも致し方ないとは思います。
前後編あるがボリュームはいつも通り
今作は前編と後編の二つに分かれています。
こちらもシリーズとしては初の試みです。
が、ボリューム自体はこれまでの癸生川シリーズと比べてあまり変わりません。
大体2時間程度でクリアできます。
プレイ前は3、4時間ぐらいのボリュームがあるのかなと期待しながらのプレイだったので、少し肩透かしを食らった感じはありました。
ただし、これは単純に自分のイメージとは違って残念だったというだけで、ゲームそのものの悪かったというわけではありません。
要は粗探しに等しいものだと思っていただければと思います。
あと、今作が前後編分かれているのはおそらく当時の容量の関係だと考えられます。
過去3作品と比較すると、BGMや背景グラフィックが豊富で、テキストも多めですしね。
当時のガラケーアプリでは、一つにまとめるのが難しかったのかもしれません。
おわりに
以上、『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.4「白鷺に紅の羽」』のクリア後レビューでした。
4作目にしてシリーズ最高傑作との呼び声も高いですが、なるほど確かにと納得できる作品だったと思います。
ガッシュも第四の術が最強ですしね
自分はこの記事を投稿した時点だと、癸生川シリーズは4作品しかプレイしていませんが、今作が断トツで面白かったですね。抜きん出てます。
隠れた名作と言っても過言ではないと思うので、まだプレイしたことがない方は、是非1からシリーズをプレイした上で今作に触ってみてほしいです。
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