はじめに
ここでは、『ゴシックマーダー-運命を変えるアドベンチャー-』をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は2020年にオレンジから配信された推理アドベンチャーゲームで、とある屋敷に屋敷に勤めるメイドが、陰謀の渦中にいる主人を救うため奔走する作品となっています。
ゲーム概要
ストーリー
1920年、イギリス。
とある伯爵家の屋敷でメイドとして働くことになったエリーは、初仕事前日の夜、屋敷を継ぐことになった主人が何者かに殺される夢を見る。
突如見た不吉な夢に戸惑うエリーだったが、翌日、夢で見たことが現実に起こりかけてしまい、機転を利かせ主人を危機から救うことに成功する。
が、安堵したのも束の間、その夜も主人が殺される夢を見てしまう。
誰が主人を狙っているのか。そしてこの屋敷には一体どんな秘密が隠されているのか。
先代の逝去に伴い、遺産・家督の相続や遺言を巡る陰謀が蠢く屋敷で、主人を守るべくエリーは動き出すのであった。
本作の特徴
オーソドックスな推理ADV
本作は極めてオーソドックスな推理ADV。
屋敷内を行き来し、
事件やちょっとした問題に解決に必要な手掛かりを集めるために捜査し、
集めた手掛かりをもとに容疑者や不審な点が見受けられる人物に尋問or説得する
という流れが基本となる。
手掛かりを全て集めると尋問パートが発生し、互いにライフが設定され、こちらのライフがゼロになる前に相手の主張を突き崩してライフをゼロにさせるとクリア。
これを繰り返し、真犯人に迫っていく。
乙女ゲー要素は薄め
記事タイトルやサムネイルからも分かる通り、本作には乙女ゲー要素が存在するものの、全体としてその要素は薄い。
一応、屋敷の主人や関係者には「それっぽい」イケメンが多く、選択肢次第ではエンディングが「それっぽく」なるが、本作はあくまで推理ADVであり、恋愛要素は申し訳程度にしかない。
↑のような選択肢がたまに発生するぐらい。
また、男性だけでなく女性キャラも複数登場しており、男女比率はちょうど半々といったところ。
そのため、体感としては推理ADV×乙女ゲーというより、推理ADVにわずかながら乙女ゲー要素が加わっているという感が強い。
なので男性プレイヤーでも特に問題なく楽しめるだろう。
逆に言えば乙女ゲー部分に期待していると、間違いなく肩透かしを食らうので注意。
感想
良かった点
テンポ良く進むストーリー
ストーリーのテンポは非常に良く、ポンポン進んでいきます。
中だるみや捜査に行き詰って進まなくなるという事態もないので、ストレスなくクリアまで行けました。
また、本作は全5章仕立てで、1章あたり約50分程度で終わるため、一つのゲームとしてコンパクトにまとまっているのもよかったですね。
ただ、その代わりご都合主義的な部分が多く、必要な時に必要な証拠や証言が都合よく手に入ったり、「よくそんなガバガバな手口で殺そうと思ったな」ということはあります。
もし本作をプレイする際は、覚悟、というほどではないにしろ、そういう部分があるということは念頭に置いておいた方がいいかと。
簡単推理
メインとなる推理要素ですが、正直かなり簡単です。
会話などで必要な情報を提示する場面や、容疑者との対決で適切な証拠を突きつける場面でも、意地悪な選択肢は特になく、会話の流れさえ掴めていればまず苦戦しないでしょう。
「この流れでその情報を提示するのが正解なの!?」ということがないのも分かりやすさに繋がっている感がありますね。
この手のゲームに慣れた方には物足りなさを感じるかもしれませんが、あまり触れたことのない方にとっては入門用として丁度いいかもなぁと思います。
悪かった点
やや強引な主人公設定
本作の主人公であるエリーは立場上メイドですが、推理小説が好きだった父の影響からか推理力が高く、(途中から主人の了承を得て)メイドという立場を超えて屋敷中を捜査していくことになります。
中盤以降はやってることが最早探偵のそれです。
まぁゲーム上流れをそういう方向に持って行かないと、プレイヤーが満足に捜査もできないので仕方ない部分ではありますが、「そこまでしてメイドの設定にこだわる必要ないんじゃないか」とプレイ中は思ってましたね。
しかもこの主人公、かなりの詮索好きで、主人の客人に対しても初対面ながらズカズカと当人が抱えている事情を聴き出そうとするので、「メイドの立場分かってるのかこいつ・・・」となること請け合いです。そもそも人として無遠慮すぎる
登場人物からも「立場をわきまえろ」とか「詮索好きのメイドなんてロクなもんじゃない」などちょいちょい注意されますしね。
そう周囲から言われるぐらいなので本人にもその自覚はあるものの、かといって最後まで治そうとしないのでその点もなんだかなぁって感じでした。
勘が鋭くて詮索大好きな使用人とか嫌すぎる・・・。
予知夢とは何だったのか・・・
本作の流れは、主人公のエリーが「主人が殺される予知夢を見る→それが現実にならないよう立ち回る」というのが基本になりますが、
・なぜエリーは予知夢を見るのか
・というかそもそもこの予知夢は何なのか
といったプレイしていれば自然と出てくるであろう疑問への答えが特に用意されておらず、作中では完全にスルーされます。
エリーは日頃から予知夢を見ていたわけでなく、この屋敷に来てから突然見始めたらしいですが、エリーも主人も不思議がる以上のことはしないので、ほんとに謎のまま終わりです。
事件自体は解決するものの、この点はちょっとモヤッとでしたね。
これに関してはスタッフも特に考えていなかったのか、公式サイトでは
「メイドとして働いている主人公は、他人の直近の死を夢で予知することができる」
と身も蓋もないことが書かれており、どうやら前提としてそういう能力を持っているという解釈が正しいようです。
それなら最初の段階で「私エリー!実は私、予知夢を見ることができるの!」みたいな導入が欲しかったんですが・・・。
おわりに
以上、ゴシックマーダーの感想でした。
5時間もあれば余裕をもってクリアできる推理ゲームです。
ボリュームは少ないものの内容はしっかりまとまっているので、プレイ後の余韻は最低限はあるなぁという感じ。
ただ、推理ものとしてはシンプル過ぎるきらいがあり、トリックは単純かつガバガバ、ゲーム中盤でなんとなく真犯人が分かってしまうなど、捻りが大分足りてません。
そういう意味ではどうしてもチープさは感じますね。
そこをお手軽ととらえるか簡単すぎるととるかで評価が分かれるかと。
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