『シュタインズゲートゼロ』クリア後感想 ゼロではあるが無印の続編/ ファン向け要素がやや強め【ネタバレ注意】

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はじめに

ここでは、『シュタインズゲートゼロ』をクリアした感想をつらつら書いていきます。

※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です

本作は、『シュタインズゲート』(以下無印)の続編兼補完というストーリーになっており、紅莉栖を救えなかったβ世界線のその後が描かれます。

そのため、無印のネタバレ全開になっているので閲覧にはご注意ください。

ゲーム概要

ストーリー

2010年8月21日。

紅莉栖の救出に失敗し心が折れてしまった岡部は、もう一度だけ救うチャンスが残されているにもかかわらず、それを拒否し逃げるように大学生活に没頭し始める。

それから三カ月。

大学の指導教官の手伝いでとある講演会の準備をしていた岡部は、偶然にも紅莉栖の母校である大学の研究チームによるセミナーの存在を知り、これを聴講。

そこで比屋定真帆ひやじょうまほという女性研究者と知り合いになる。

比屋定は紅莉栖の先輩にあたる人物で、それがきっかけで比屋定が所属する研究所が作り出した人工知能「Amadeusアマデウス」のテスターを依頼される。

テストの内容はAIであるアマデウスと対話を重ねること。

そしてそのAIは、生前の紅莉栖の記憶をベースに作られており・・・。

本作の特徴

紅莉栖を救えなかった世界線の物語

トレードマークだった白衣も着なくなる

無印では紅莉栖を救いシュタインズゲートに到達したが、本作では救出に失敗した世界線(β世界線)のその後が描かれる。

β世界線では

・タイムマシンを巡って第三次世界大戦が勃発

・大戦によって数十億人が死亡&環境汚染が悪化

・2025年に岡部死亡

というように最悪の未来が待っており、これを回避するためにもシュタインズゲートに到達する必要があるのだが、岡部は事故とはいえ紅莉栖を手にかけてしまったことで心が折れてしまい・・・というところから物語が始まる。

そのため、全編にわたってシリアスな展開が多い

特に岡部が負った心の傷は深く、鳳凰院凶真を「神の摂理に逆らった許されぬ存在」「あんなもの必要ない」と封印し、さらに紅莉栖の一件が強いトラウマになったことで精神安定剤を手放せなくなっているなど非常に痛々しい状態で、無印の頃の姿はほとんど見られない

※ただし仲間思いで優しい部分は変わっておらず、ラボに行くことは少なくなったがラボメンとの交流は続いている

また、β世界線ではタイムマシンの存在がアメリカやロシアの諜報機関に知られているため、タイムマシン技術の争奪戦が繰り広げられており、無印以上に命の危険に晒されるシーンが多い

必然バイオレンスな描写も少なくない。

RINEトリガーや”紅莉栖”との対話

本作ではフォーントリガーに代わって新たにRINEトリガーが登場。

「RINE」はダルこと橋田至が開発したメッセンジャーアプリで、現実でいうところのLINEのようなもの。

作中では基本的にこれを使ってラボメン達と連絡を取り合うことになる。

返信内容は3択の中から任意のものが選択でき、選んだ内容によって会話が変化するというのは無印同様だが、フォーントリガーとは違いRINEトリガーには分岐発生の条件は一切ない

このように死ぬほどどうでもいい会話も

なので極論無視(既読スルー)してもゲーム進行には支障がなく、ちょっとした会話イベントのような機能に収まっている。

分岐に関わるのは、アマデウス”紅莉栖”との対話

”紅莉栖”はアプリとして岡部のスマホから連絡が取れるようになっており、この”紅莉栖”からの着信に応答するかどうかで物語が分岐していくようになっている。

そのため、無印よりも分岐の条件が分かりやすい

感想

良かった点

ダルと鈴羽の掛け合いが豊富

無印ではほんとちょっとだけしかありませんでしたが、本作ではダルと鈴羽の掛け合いが豊富です。

全体の5分の1はこの二人のやり取りなんじゃないかと思えるほど多いです。

無印で二人の関係性にほっこりした人は、本作はほっこりポイント多いと思います。

かくいう自分がそうでした。シリアスな作風だけに余計。

あとプレイしてて思ったんですが、娘へのフォローにタイムマシン開発にラボメンへの気遣いに敵組織へのハッキングにとダルがスペシャリストすぎる。

なんだこの超人。

真帆ルートが秀逸

本作には全部で6つのルートがありますが、個人的には「存在証明のオートマトン」―いわゆる真帆ルートが一番好きでした。

生前の紅莉栖との思い出や、AIの”紅莉栖”に接することで蘇ってくる紅莉栖に対する複雑な思い、とある出来事がきっかけで萌郁と親しくなっていく過程など、比屋定真帆という人間を掘り下げると同時に、無印で不遇だった萌郁と比屋定を結び付けるという采配は良かったと思います。

この交流によって二人とも自分の価値を自覚し、比屋定は紅莉栖に対する劣等感から、萌郁は自らにまとわりつく自信のなさから解放されるという展開に持っていったのは感動しましたね。

その後も友情が続いているのもいい。

ちなみに年齢的には比屋定が一個上

全体として見ると事態は何一つ解決、というか進展したわけではありませんが、だからこそ真帆ルートは映えるのかもしれません。

あとこのルート、地味にレスキネンに罰が下ってるのもポイント高いです。

他ルートだと一杯食わせられるぐらいで明確に制裁を与えられないですし。

トロコンが簡単

本作は複雑なフラグ管理や難易度の高いトロフィーがなく、プレイ時間も大体30時間程度でトゥルーエンドにたどり着けるので、トロコンがしやすいです。

攻略サイトに頼ることなく最後まで行けました。

面倒な作業も特にないので、無印を知ってて本作をやったことがないのであれば、トロコンという観点から見てもおすすめできるのかなと。

悪かった点

分かりづらい世界線移動

プレイ中はこんな風になったりならなかったり

ゲーム進行自体は楽になりましたが、物語の構成としては無印よりも分かりづらくなっています。 

というのも、無印はαからβに戻るためという目的の分かりやすさや、何月何日何時にタイムリープした(現在→過去)という時刻表示があり、どういった世界線にいるのか分かりやすかったですが、

本作では、基本的にタイムリープではなく同一の時間軸上の世界線を移動する(現在→現在)ために時間表示もなく、世界線変動率ダイバージェンスを覚えておかないと今どの世界線にいるのか把握しづらくなっているためです。

その上自発的に世界線を移動するのではなく、ダイバージェンスの変動に巻き込まれるというケースがほとんどなのも一層分かりづらさを助長している感があります。

なので初見プレイ時はこんがらがりましたね。

ますます増えた女性キャラ

ゼロでは比屋定やかがりなど新キャラが多数(無印の倍近く)登場しましたが、男性の新キャラ1名に対して女性の新キャラ6名という具合に男女比率が女性の方にえらく偏ってます

特にラボメンになった新キャラだけに着目しても、男0女3(比屋定・かがり・由季)というようにハーレムっぽさが上昇。

シュタゲは元々ギャルゲーとしての側面が強い作品ですが、「もうちょっと男のキャラ増やしてもよかったんじゃ?」なんて思ったりしましたね。まぁかわいい子多いからいいけど

“紅莉栖”の扱い

AIであるアマデウス―”紅莉栖”は、分岐に関わることから分かるように本作においてかなり重要な位置を占めているわけなんですが、扱い自体はそこまで良くありません

序盤は岡部や比屋定との交流描写がちょいちょいあるものの、中盤以降は多くの場合世界線変動でアメリカorロシアに奪取されていたり、アマデウスそのものが凍結されていたりという感じで出番がなく、ルートによっては終盤になってもほとんど出てこない場合もあります。

特に岡部が鳳凰院凶真として復活する盛り上がりどころ満載の2つのルートでは、どちらも”紅莉栖”との別れが非常に淡泊、というよりほぼカット同然で省略されており、非常に残念でした。

一応葛藤する描写こそありましたが、直接”紅莉栖”に別れを告げるわけでもなく、印象としては「敵に利用される前に早く消さないと!」という感じ。

いくら切羽詰まった状況とはいえ、岡部が一言もなしで消去しようとするのはないと思うけどなぁ・・・。

葛藤はもうちょっと丁寧に描いてほしかったです。

という感じで”紅莉栖”関連が不完全燃焼だったので、ゼロをクリアした後アニメ版ゼロを流し見したんですが、アニメの方は真帆エンドを上手く取り入れつつ岡部が”紅莉栖”に別れを告げていて、ゲームより断然良くなってました。

“紅莉栖”との別れにしっくりこなかった方は是非アニメの視聴をおすすめします。

トゥルーエンドの味気なさ

本作は、序盤・中盤は濃密でワクワクさせられますが終盤はかなり駆け足で、回収されない伏線も一つや二つではありません。

とりわけトゥルーエンドは実質15分ぐらいしかなく、「え?もう終わり?」という感じで正直ガッカリでした。

俗に言う「俺達の戦いはこれからだ!」ENDです。

ゼロはあくまでシュタインズゲートに至るための過程を描いた話なので、全て描き切る必要はないと思いますが、終盤に限定して考えても

・かがりはいつ整形し直したの?

・萌郁って屋上で撃たれたけどあの後どうなったの?

・屋上で敵に囲まれている状況からどうやって生き延びたの?

・まゆりと鈴羽はどうなってしまったの?

といった疑問をスルーしていきなり2025年に時間が飛ぶため、投げっぱなしになっている感は拭えませんでした。

ただし、まゆりと鈴羽のその後はアニメではしっかり取り上げられており、”紅莉栖”との別れ同様この部分はゲームより遥かに良くできています。

おわりに

以上、『シュタインズゲートゼロ』のクリア後レビューでした。

総合的には無印を超えられなかったなというのが率直な感想ですが、しっかりシュタゲしてて十分に楽しめる作品です。

ただ、ゼロではどう足掻いても紅莉栖を助けられないので、如何せん切なさが残ります。まぁ本作はあくまで無印トゥルーエンドに繋がる物語なので仕方ないことですが。

また、ダルと鈴羽の掛け合いや(真帆ルート限定ではあるものの)萌郁の救済、研究員時代の紅莉栖の回想など、ファンに向けた掘り下げが多く、続編としてはそういったニーズにきちんと応えているのは好印象でした。

あまりにも綺麗に終わった無印の続編を触ることには抵抗を覚える方もいるかと思いますが、個人的にはやって損はないのかなと。

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