はじめに
ここでは、「Everybody’s Gone To The Rapture-幸福な消失」をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は一人称視点のアドベンチャーで、人が全員消失したイギリスの田舎で何が起こったのかを謎の光を通して垣間見ていくゲームとなっています。
ゲーム概要
ストーリー
舞台は、突如として住民全員が消えてしまったイギリスのとある村。
プレイヤーは謎の光に導かれるように村を訪れ、光が映し出す映像を通してここで何があったのかを知ることになる。
もたらされたのは破滅か、それとも神による救済か。
本作の特徴
村を散策するゲーム
本作はやることがいたってシンプル。
・移動
・特定の物を調べる
・光に触れて過去の出来事を垣間見る
この3つだけ。
調べられるものはラジオ、電話が基本。
それらの前で〇ボタンを押すと、過去に行われた電話でのやり取りや、ある女性研究者の独白が聴ける。
また、光を調べる・あるいは近づくと、過去の映像がおぼろげに映し出される。
いずれにしても情報は断片的なものが多く、それ単体ではイマイチ要領を得ないが、集めていくことで繋がっていき、何が起こったのかを大体は把握することが可能。
こうして、かつて起こった出来事を調べていくことになる。
が、一口に村とは言ってもその領域は広く、探索できるロケーションは中々多い。
場所によっては情報を取りこぼすこともあり得るので、割と根気強く調べる必要があるだろう。
※一部の必須イベント以外は取りこぼしてもストーリーは進行する
特に最初の住宅街のステージは、必須レベルの重要なイベントを見ずスルーしてもストーリーが進むため要注意。
とにかく教会に寄るのを忘れずに。
感想
良かった点
意外と分かるストーリー
「それが良かった点か?」と思われるかもしれませんが、自分はいい意味で裏切られたのでこういう題目にしました。
本作では、プレイヤーの考察に委ねる系のストーリーが展開されます。
なので、物語の細部まで明確に答えが用意されているわけではありません。
そういった前情報はプレイ前から把握していたので、「まぁ描写されていることの半分でも分かればいいかなぁ」って感じでプレイしていましたが、情報を取りこぼさなければ半分以上は理解できるストーリーでした。
おおまかなストーリー、というより村で何が起こったのかについては以下の通り。
①村の外れにある谷で電気系統の異常が発生
②村に住む研究者夫婦が調査を開始
③それとほぼ同時期に、村人の中に頭痛・鼻血・謎の光を見るようになるなど、身体に明らかな異常を伴う者が出始める
④挙句文字通り消失する村人すら出てくるように
⑤研究者夫、この事態はウィルスではなく電線を媒介にして人間に憑りつく謎の生命体が引き起こしたのではと推測。駆除すべく対策に乗り出す
⑥研究者妻、謎の生命体には意思があり我々と交信しようとしていると判断。夫とは対照的にコンタクトを取ろうと躍起になり夫と対立
⑦夫、妻を説得しつつ外部と連絡を取り、村一帯を爆撃することで生命体を駆除することを軍に要請
⑧要請通り爆撃が行われる(爆撃以前に村人はほぼ全員消失)
⑨シェルターで爆撃を見届けた後、夫は消失
⑩妻、生命体に関する独自の考察を行い消失
・生命体とは結局何だったのか、何が目的だったのか、どこから来たのか
・結果的に村は全滅したが、外の人間はどうなったのか(村人と同じ状況に陥っていないのか)
・そもそも主人公は何者なのか
といった疑問が湧きますが、それは考察の余地ということなのでしょう。
実際、本作に関する考察サイトは多いので、調べてみると中々面白いです。
特に、本作の原題であるRaptureは、日本語で携挙(キリスト教終末論のこと)という意味らしく、キリスト教への造詣が深いと本作へのイメージが変わってくるとのこと。
携挙
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%90%BA%E6%8C%99#:~:text=%E6%90%BA%E6%8C%99%EF%BC%88%E3%81%91%E3%81%84%E3%81%8D%E3%82%87%E3%80%81%E8%8B%B1%E8%AA%9E,%E7%B5%8C%E9%A8%93%E3%81%97%E3%80%81%E4%B8%BB%E3%81%A8%E4%BC%9A%E3%81%86%E3%80%82
プロテスタントにおけるキリスト教終末論で、未来の主イエス・キリストの再臨において起こると信じられていることである。まず神のすべての聖徒の霊が、復活の体を与えられ、霊と体が結び合わされ、最初のよみがえりを経験し、主と会う。次に地上にあるすべての真のクリスチャンが空中で主と会い、不死の体を与えられ、体のよみがえりを経験する。
確かに作中では、消失する瞬間「嫌だ!死にたくない!」という感じの絶望や恐怖の声を上げる村人はおらず、どちらかというと心静かに受け入れている感じでした。
それは諦念からなのか、それとも救済を悟ったからなのかは分かりませんが、そういった村人の心情を宗教的側面から考察すると面白いかもしれません。
悪かった点
移動が遅い
移動については「徒歩」と「走る」が可能なものの、どちらもあまり速度は出ません。
特に「走る」は最大速度になるまでが異様に遅く、ちゃんとしたスピードが出るまでに大体5秒近くかかるという謎仕様付き。
何か開発側の事情があったのかもしれませんが、単純に不便だと感じる部分でした。
フィールドは結構広大で、かつゲームプレイとしては移動が大部分を占めるので、移動に関してはとにかくもっと速さが欲しかったですね。クーガー兄貴かな?
手動セーブ不可
本作はオートセーブだけしかなく、手動セーブができません。
その上オートセーブ自体も頻度としては少なめで、重要イベントを見た後でしかセーブされないので、好きなタイミングでゲームを中断するというのができずストレスでした。
オートはあるのに手動はできないって割と珍しいんじゃないでしょうか。
これでボリュームある作品だったら大分厳しかったと思います。
説明がやや不親切
ゲーム冒頭のエリアで簡単なチュートリアルがありますが、個人的にこれが分かりづらかったです。
チュートリアルでは、
ラジオや電話などは〇を押すと内容が聴ける
その場に留まっている光はコントローラを傾けると過去の映像を映し出す
ということが文字ではなく行動によって説明され、それ自体は分かったんですが、チュートリアルだと実際ラジオとか光に近づくと〇ボタンとかコントローラを傾けるアイコンが出るんですよね。
で、自分はてっきり
「このゲームではこうやってインタラクトできるものにはボタン表示がされるんだろうな」
と思ったんですが、表示されるのは本当に最初だけで本編では一切表示されません。
自分がこれに気づいたのはゲーム始めて30分ぐらい経ってからで、たまたまラジオの前で〇を押したら女性(研究者妻)の独白が始まって、「あっそういうことだったんか(操作的な意味で)」という感じ。
※ラジオはノイズがすごいので、普通なら調べてみようってなると思います
まだ序盤だったので急いで来た道戻ってインタラクトしまくれたからよかったものの、気づくのがもっと遅れてたらやばかったですね。
単に自分の早とちり・理解力のなさと言ったらそれまでなんですが、ちょっとぐらい説明があってもよかったんじゃない?と思わなくもなかったです(恨み節)
おわりに
異常事態の連続でパニックに陥る村人が描写されている中、BGMは基本落ち着いた感じの曲調で、場所によっては小鳥のさえずりさえ聞こえてくるというギャップが印象的なゲームでした。
ちょっと独特な雰囲気です。
ストーリーは決して難解なわけではないものの、どうしても最後は考察が必要になるので、ゲーム的な意味でも物語的な意味でも人を選ぶかもしれません。
ただ、ボリュームは控えめで、じっくり探索しても6時間かからない程度でクリアできるので、ものは試しでやる価値はあると個人的には思いますね。
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