はじめに
ここでは、「イヌワシ(~部分は省略)」をクリアした感想をつらつら書いていきます。
※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です
本作は、2015年にソシャゲとして出ていたものをCS用に最適化し移植したアドベンチャーゲームです。
ゲーム概要
ストーリー
東京・池袋。
この街で探偵業を営む男、狗神エイジは閑古鳥が鳴く探偵事務所でいつものように不貞寝をしていた。
狗神は元刑事で、かつては同期の鷲宮という刑事とコンビを組み、その神がかり的な活躍から「イヌワシ」と呼ばれ、警察内でも一目置かれていた。
が、7年前、その相棒が突如自宅で謎の死を遂げる。
現場には特に不審な点は見つからず、事件性はないと判断した警察はこれを自殺と認定し、捜査を終了。
この判断に納得できなかった狗神は、警察を辞して探偵として独自の捜査を開始。
そうして7年間方々を回ったがこれといった手掛かりを掴めず、もどかしい日々を送っていた。
そんなところに、相棒の妹である鷲宮ヒナが事務所に訪ねてくる。
ヒナも兄の死は自殺ではないと考えており、その真相を追うため刑事になったという。
そして、かつて兄とコンビを組んでいた狗神に捜査への協力を申し出る。
この二人の出会いにより、7年前の事件は再び動き出そうとしていた。
本作の特徴
サウンドノベル寄りアドベンチャー
本作は分類上アドベンチャーに属するが、テイストとしてはサウンドノベルの趣が強い。
そのため、基本的にはプレイするというより物語を読むことに重点が置かれており、そこにアドベンチャー的なアクセントが加えられているという形式となっている。
アクセントの具体例としては、
オーソドックスに選択から正しい答えを選ぶ点や、
簡単な現場調査、
タイミング良くボタンを押す(ゲーム的にはこれが一番難しい)
など。
選択肢を選ぶのは特に難しくはなく、話の前後関係を把握していれば問題なく正解が分かるようになっている。
例えば尋問の場合、
狗神「〇〇時はどこで何をしていましたか?」
容疑者A「××で△△をしていた」
狗神「(つまりAさんは〇〇時に・・・)」
選択肢発生
1.□□で☆☆をしていた
2.××で△△をしていた
3.××で♢♢をしていた
という感じで非常に易しめ。
仮に間違えても選択肢は選び直すことができる。
が、本作は正解数によってエンディングが変化するマルチエンディングが採用されているので、ベストエンディングが見たい場合は極力間違えないようにしたい。
以上のように本作は難易度的には易しく、これといって難しい操作も要求されないため、純粋にストーリーを楽しむタイプのゲームと言えるだろう。
サイコ・レゾナンス
本作の目玉にして物語の鍵を握る重要な要素。
サイコ・レゾナンスとは、主人公の一人である鷲宮ヒナが持つ能力で、「手で直接触れた相手の心(物の場合は込められた思念)を読み取ることができる」という特異な力のこと。
一見便利な能力に思われるが使い勝手には難があり、心を読むには相手の精神の波を読み取る(あるいは同調)する必要があるため、その波が強くうねっていなければ読み取るのは困難。
無理に読もうとすると極度の集中によりダウンしてしまう。
が、相手が動揺や興奮などで感情が揺れ動いている場合は、波が強くうねっていて読みやすいため、ヒナやその能力を知る仲間は、会話や尋問の中で上手く相手の感情を動かし、能力の成功率を高めることに努めている。
ゲーム中では、実際にこの能力を使って相手の思考を読み取るパートがある。
相手が考えていることの中から重要な情報を読み取り、捜査に上手く活用していく。
作中では、他にもサイコ・レゾナンスを持つ能力者が出てきたり、その力を研究して悪用しようとする人間もでてきたりと、上でも述べた通り能力自体が物語において重要な要素となっている。
感想
良かった点
ストーリー
ストーリーを売りにしているだけあり、話はシンプルに面白かったです。
相棒を殺した真犯人を見つけ出すゲームかと思いきや、1話でその犯人が分かり、劇中で発生する数々の事件の裏には、その犯人の影が見え隠れするという物語の構成もよくできていました。
ある種王道な構成ですが、先が気になるストーリーを作るという意味では非常に効果的で、進めていくごとに真犯人の目的が分かってくるので、最後までモチベがなくならずクリアできたなというのが率直な感想です。
一枚絵が豊富
本作は元がソシャゲだったためか一枚絵、いわゆるイベントスチルが豊富です。
後で自由に閲覧できるモードもあるので、見返したい時にも便利。
以下スチルの一部
かわいい。
ここではヒナの絵ばかり取り上げましたが、女性キャラだけでなく、男性キャラのスチルも多いです。
メタ的に見れば、ソシャゲでは幅広い客層を取り込みたかったんだろうなぁという製作スタッフの意図が垣間見えました。
悪かった点
操作性が薄い
元はソシャゲ(2015年当時の水準)である点や、上述のようにテイストとしてはアドベンチャーというよりサウンドノベルの趣が強い関係上、操作性は薄いです。
サウンドノベルのように全て自動で進むので、好きな場所に移動したり、特定の人物に話しかけるといったことは一切できず、できるのは概要部分でも触れたように
・選択肢を選ぶこと
・タイミング良くボタンを押して敵を撃退もしくは捕まえること
・現場を調査する(のんびりやっても2分ぐらいで終わる)
ぐらいしかありません。
自分はプレイする前、本作はアドベンチャーゲーのように、街や現場を見て回ったり関係者に聞き込みしたりと、プレイヤーが能動的にプレイするゲームとばかり思っていたので、この点はちょっと残念でした。
単純に購入前のリサーチが足りてなかったですね。
もし購入を検討している方がいれば、上記の点は留意しておいた方がいいかと。
マルチエンディングの必要性
本作はマルチエンディング性となっており、事件ごとに3種類のエンディングが用意されていますが、どれもそれほどバリエーションがあるわけではありません。
ベストエンド
・・・円満に事件解決。後日談あり
グッドエンド
・・・割と円満に事件解決。後日談なし
バッドエンド
・・・事件は解決するがどことなく消化不良。後日談なし
という感じで、あまり大きな変化がなく残念でした。
分ける意味あったんでしょうかこれ。
少なくともバッドエンドは未解決の方がよかったですね。
おわりに
操作性があまりなく、ストーリーとスチル勝負のゲームという印象が強いですが、それだけに物語は面白くシンプルに楽しめたゲームでした。
クリア時間は正確に計っていないのであれですが、サブエピソード込みで大体20時間ほどだったかと。
公式が「本作は30時間以上遊べるゲーム」というのを売りにしていますが、大体それぐらいボリュームはあったので、個人的な満足度は高いですね。
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