天穂のサクナヒメクリア後感想 米を作って強くなる!?/前代未聞の稲作アクションRPG【ネタバレあり】

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はじめに

ここでは、『天穂のサクナヒメ』をクリアした感想をつらつら書いていきます。

※クリア後の観点から書いているのでネタバレ注意です

本作は2020年にマーベラスから発売されたアクションゲームで、鬼が支配する島を調査するため、稲作で自給自足しながら鬼退治をするという「稲作×アクション」の斬新な作品となっています。

ゲーム概要

ストーリー

舞台は、神々が住まう頂の世と、人間達が暮らす麓の世の2つが存在するヤナトの国。

頂の世で豊穣神として生きるサクナヒメ(以下サクナ)は、両親が遺した莫大な米を主神カムヒツキに捧げることで、自らは働きもせず怠惰な日々を送っていた。

そんなある日、麓の世から人間達が迷い込み、興味本位で彼らと関わりを持ったサクナは、意図せず人間達を頂の世に引き入れてしまい、その結果カムヒツキに捧げられた供物が保管されている神殿を滅茶苦茶にしてしまう。

事態を把握したカムヒツキは、罰としてサクナ達にヒノエ島―通称鬼島と呼ばれる鬼達が支配する島の調査を命じる。

不本意ながらもその任を果たすため、サクナは人間と共にヒノエ島へ向かうのであった。

本作の特徴

稲作×アクションという異色作

本作はただのアクションゲームではなく、稲作と横スクロールアクションを絡めた独自性の強い作品になっている。

なぜそれらの要素がゲームの下敷きになっているかについては設定レベルでの理由付けが存在し、大まかに書くなら

「島には鬼が跋扈しているものの庇護者はほぼ存在せず、安全の確保から衣食住などの身の回りのことは全て自分達で何とかしなければならないため」

というのが理由となる。

特に食に関してはゲーム開始から終わりまで常に死活問題となっており、サクナの母が遺した田んぼを使った稲作や、狩りや採集でとれたものをフルに活用することになる。

そう。このゲームはよく稲作が取り沙汰されるが、採集も同じくらいに重要なのである。

とは言えゲームの花形は稲作であり、稲作パートは現実さながらの本格的な行程に基づいて進んでいく

これに関しては後述。

アクションは前述の通り、横スクロール型のアクション。

アクション部分は事実上探索部分に該当するため、探索パートと言い換えてもいいだろう。

ゲームの目的である「島の調査」は、この探索パートを進めることで展開される。

これに関しても後述。

パッと見稲作パートと探索パートに関連性は見受けられないが、サクナは武神の父と豊穣神の母の血を受け継ぐ神であるため、稲作によって得られる豊穣の力がそのままサクナの強さに直結する。

つまり、米を作れば作るほどサクナは強くなっていき、強くなればなるほど島の探索が進みやすくなるという構造になっている。

そして探索が進めば進むほど得られる食材の種類が豊富になっていき、行動範囲や安全圏も広がり、新たに田んぼを開墾し収穫量を増大させることが可能になる。

このようにして、

①稲作でサクナを強くし
②その力で鬼を狩り
③島の探索を進め
④生活圏を広げていく

ということが本作における基本的な流れとなる。

そのため、稲作パートと探索パートは密接に関係しており、稲作にのみ力を入れても探索しないことにはゲームは進まず、かと言って稲作を無視して探索を進めようとすると敵の強さに苦戦するという事態が起こり得る。

両方をバランス良く進めることが本作において肝になるだろう。

本格的な稲作体験

前述した通り、稲作パートは本格的。

およそ1年かけて、田んぼを耕すところから精米までの全行程を行う。

ただし、時間経過は圧縮されており、ゲーム中での1年は12日(季節ごとに3日×春夏秋冬)となっている。

なので、稲の生育は非常にスピーディー。

なお、ゲーム序盤は一つ一つの行程を地道にやる作業が続くが、ゲームが進んでいく度に「農技」という専用スキルが解禁されていったり、時間短縮に繋がる農具も増えていくため、徐々に稲作での手間暇は軽減されていく

そのため、稲作的には序盤を乗り切れるかどうかが関門になる。

稲作の行程

ということで、稲作の行程についてかいつまんで解説していく。

まず最初は田起こし

冬の終わりからできるようになり、寒さで固まった土を耕し春以降の田植えに備える。 

田起こしが終わると次は種籾選別

種籾選別とはその名の通り、稲の苗となる種籾を選別することで米の品質を上げる作業を指す。

選別には泥や塩が使われ、どれだけ泥や塩を投入したかで品質が変化。

大量に入れれば品質を高めることができるが、その分種籾が減るため苗の量は減ってしまうため、量と質のバランスが重要となる。

また、選別後はどのように苗を播くかで収穫量や品質が違ってくる。

(とりあえず序盤は厚播きが望ましい)

次はお待ちかねの田植え

当然ながら世界観的にトラクターは存在しないため、手作業で植えていく。

特定の農技を覚えると、一度に横2つに苗を植えることができたり、枡形に4つ植えることができたりするようになる。

田植えが終わると、しばらくは地道な世話が続く。

ここの管理が少々大変で、苗の生育段階に応じて水量を調節したり、日照時間や稲にとりつく虫・雑草などの外的要因に注意を払う必要がある。

そして穂が出てきて成熟を迎えるといよいよ収穫

ここもコンバインのような便利なものはないので、手作業で刈っていく。

田植えに比べると非常に楽。

その後は稲架掛はさかし、稲がある程度乾燥するまで待つ。

そして乾燥した段階で、脱穀に移行。

扱き箸という道具を用いて稲から籾を取っていく。

ここはちょっとしたタイピング要素があり、画面に映し出されるコマンドを素早く入力するとその分早く脱穀できる。

そして最後は籾摺り

餅つきの要領で籾をつき米にする。

どれぐらいつくかで籾の状態は変化し、玄米から白米まで好みの段階までつく。

なお、ここも脱穀同様タイピング要素があり、素早く入力すればその分早くつける。

こうしてついに新米が完成する。

 新米が出来上がるとリザルト画面が表示され、米の収穫量や品質、季節ごとにどのような作業をしたかが確認できる。

最初のうちは収穫量や品質は低いものの、これらはゲームを進めるごとにどんどん高まっていくので心配ご無用。

なので、序盤の2、3年はとにかくこれら一連の作業をしっかり覚えていきたい。

というように、

①田起こし
②種籾選別・播き方選択
③田植え
④地道な世話
⑤収穫
⑥稲架掛け
⑦脱穀
⑧籾摺り

が本作における稲作の流れになる。

他にも稲の生育段階に応じた肥料の分配や、稲に発生する病気や虫害といった要素はあるがここでは割愛。

とにかく稲作の流れは非常に本格的ということが分かっていただければ幸いである。

横スクロールのコンボアクション

稲作に並ぶメイン要素。

本作は全編を通して、探索パートが横スクロール型のアクションになっている。

サクナは豊穣神であると同時に武神でもあるため戦闘能力は高く、農具を武器とし、母から譲り受けた羽衣を駆使して戦う。

操作は非常にシンプルで、基本的な攻撃方法は弱攻撃強攻撃の2つ。

攻撃自体の性質もオーソドックスで分かりやすく、

弱攻撃は攻撃力が低いが手数が多くスピードは速い

強攻撃は攻撃力が高いが手数が少なくスピードは遅め

というようになっている。

また、攻撃には武技と呼ばれるスキルが存在し、技力というゲージを消費することで固有の技を使うことが可能。

プレイスタイルにもよるが、とりあえず飛燕と電光石火さえ覚えていれば対応できない敵はいないので、個人的にはこれら2つが強かった印象。

なお、武技には熟練度が設定されており、上がれば上がるほど技の性能が上がっていく。

そして通常の攻撃に加え、サクナは羽衣による移動や攻撃が可能。

敵に羽衣を当て敵の後ろに回り込んだり、

天井に羽衣を当て、ジャンプでは届かない場所に到達したりする

など、立ち回りやステージ攻略に柔軟性を持たせることができる

また、武技同様に羽衣にも技があり(羽衣技)、技力ゲージを消費して技を使うことができる。

が、羽衣技は通常攻撃で敵の姿勢を崩さないと使用できないものが多く、武技に比べると扱いづらさが目立つ

一応羽衣技なしでも十分戦っていけるが、技自体の性能は高く、敵の攻撃力や防御力を下げたり、毒の付与や体力を吸収したりすることができ、意識して使えれば強力。

(補足1)装備について

本作では、装備は笠(頭)・片手武器・両手武器・面・服の5つに分かれており、どの装備にも固有のスキルが内蔵されている

ただし、装備には防御力という概念はなく、(武器を除き)古い装備が新しい装備に取って代わられることはない。

そのため、状況に応じて使い分けるのが基本となる。

(補足2)探索について

探索はフィールドマップから直接ステージを選択する形式をとる。

ステージにはそれぞれ達成目標があり、それを達成していくと新たなステージが順次解放されていく。

また、峠の家に犬が住み着くと集落にいるキャラが採取に出かけられるようになる。

探索を支える食事

探索において重要となる要素。

本作では、一日一回夕飯を摂ることができ、そこでどのような献立にするかでステータスや食事でしか得られない効果が変化する。

※食事効果は満腹度という事実上の時間制限があり、満腹度が0になると効果は消失

特に食事効果は重要で、本作では回復アイテムが存在せず、探索ではHP管理がシビアになるため(特に序盤)、食事でのみ得られる「自然治癒」(HPを自動回復)はほぼ必須。

白飯は、単品で自然治癒と腹持ち(食事効果の持続時間延長)が付与できるので優秀。

感想

良かった点

リアルな稲作体験

稲作という要素がプッシュされ、メディアやSNSでバズった点からも明らかなように、稲作をゲームで体験できるという点では非常に秀逸な出来です。

農水省のQ&AやJAなどの稲作解説が攻略サイトとして機能するのがまさにその証拠。

序盤は分からないことが分からないという有様だったので、こういった解説を結構読み漁りました。

というかゲーム攻略で農水省のサイト見るのは後にも先にもこれだけでしょうね。

ただし、こういった外部サイトが必須かというとそうでもなく、ゲームを進めていけば田右衛門のアドバイスや農書という稲作のノウハウが書かれたヒントがどんどん手に入るので、ゲーム内だけで完結させることは可能です。

外部サイトから得た知識は無駄にならないものの、かと言って必須なわけでもないという塩梅は絶妙でした。

この辺りはスタッフの方々が相当腐心されたことがうかがえます。

また、後半でサクナも似たような状況に陥っていましたが、「あれ分けつ終わったけど水抜いたっけ」とか「合鴨の柵閉じたっけ」みたいに一概に些細とは言い切れないことが気になって若干悶々としたりしなかったりということはちょいちょいありました。

稲作とアクションの二大要素が上手く絡み合っている本作ですが、振り返ってみると頭にあったのは常に稲のことでしたね。

キャラデザとモデリング

自分がこのゲームを買った最大の理由。

正直言うと、購入動機は稲作とかアクションといったゲーム性を求めてではなく、完全にキャラデザとモデリングが目的でした。

ほぼ衝動買いに近いです。

この記事のサムネイルにしたメインビジュアルと下のスクショを一目見た時、一瞬で「あ、買いだわ」ってなりましたね。

画像出典:My Nintendo Store

何がとは上手く言語化できないんですが、久々にぶっ刺さりました。

サクナのかわいさもさることながら、なんというかこのくっきりした線とデフォルメでありながら骨格を無視していない感じがすごく好きなんですよね。

類似しそうなものだと、今年出た聖剣3のリメイクみたいな。

どなたが担当されてるんだろ?と思ってググったら、村山竜大さんという方らしいです。

ツイッターを見てみると、サクナの発売記念イラストも描かれてて、それがまたかわいくて素晴らしい。

ほんと綺麗なイラストだと思います。

かわいらしい雰囲気とシビアな世界の同居

本作は、デフォルメされたかわいらしい世界でありながら、やっていること・置かれている状況はシビアというギャップがとにかく印象的。

とりわけ序盤は、慣れない環境、未熟な共同体、働けども働けども貧しい暮らしというギスギス要素が満載で、結構えぐってくる感じの展開が多いです。

特にここの「1年間稲作に狩りに精を出したのに何一つ報われず爆発するサクナ」のシーンが個人的には最大瞬間風速だったと思います。

プレイヤー的にも真面目に頑張ったのにリターンが少なすぎて萎えてるところにこのシーンですからね。

※システム上、1年目はどうあがいても実りが少なく困窮します

なので共感できる部分は多いんですが、同時に「集落の代表的な立場の者がそれを口にしたらダメだよな・・・」みたいなどこか冷めた目で見てたりもしました。

この辺はいい意味でスタッフに弄ばされましたね。スタッフの想定通りに感情をコントロールされた感。

ただ、こういったギスギスを乗り越えて長として、あるいは神としての正しい振る舞いを身につけ、最終的にはヒノエの民を自認するまでに至る流れはザ・王道って感じで鮮やかでした。

特にスクショ左の「あーあが迎えに来たぞ」ってかいまるに言うシーンがすごく好き。

悪かった点

一部未回収の伏線

ネタバレ全開ですが、ストーリーでは回収されない伏線があります。

特に大きなものだと「ココロワのもとに鬼を遣わしたのは誰か」という点。

サクナの見立てでは、「頂の世に鬼を手引きするのは神以外に考えられない」ということが触れられますが、それ以降この話題が取り上げられることはありません。

また、「鬼がレベルの高い装備を使いこなしているが、それは誰によってもたらされたのか」という点に関してもほぼノータッチです。

続編が想定されているのかそれともDLCがあるのかは分かりませんが、結局答えは何なのか気になるところではあります。

ゲーム的に不便な部分

細かい部分ではありますが、プレイしていてここはちょっと不便だなと思う部分はありました。

以下その例を挙げていきます。

探索から家に戻ると微妙に離れたところからになる

→パッと家の前までファストトラベルしてくれないので地味に面倒でした

ダッシュがない

→技や羽衣に頼る以外に素早く移動する術がなかったのが残念

装備のセット登録ができない

→装備を使い分けることが多いため、状況によってイチイチ付け替えるのが若干ストレス

という感じに改善してほしい部分が見受けられました。

おわりに

キャラデザに惹かれて買ったゲームでしたが、その完成度の高さに驚きました。

稲作をゲームとしてここまで落とし込んだ手腕は見事と言うほかありません。

開発期間が5年という長さから、発売に至るまで長く険しい道のりだったであろうことは察するに余りありますが、売り上げが50万本を突破したことから分かるように、いいゲームがちゃんと評価されるというのは嬉しいですね。何様だお前

また、クリア時間はおよそ22時間と比較的早く終わりましたが、プレイ体験としてはなかなかに濃密だったかと。

とにかくリソースとノウハウに乏しい序盤がしんどいので、そこさえ抜ければクリアは難しくないでしょう。

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